第148話 おじさん、新居の下見に来る。
俺とササメ、それから三つ子達はとある都心の駅に降りると、駅直結の高層マンションのエントランスに出て、オートロックに部屋番号を入れる。ほどなく、インタホンから男性の声が聞こえてきた。
「
男性が答えると、オートロックの自動ドアが静かに開く。俺達はエレベーターの中に入ると、最上階のボタンを押す。
チーン。
エレベーターが上昇すること一分、エレベーターが開くと、眼の前に二部屋のドアが現れる。俺は右側のインタホンを押した。
ガチャリ。
玄関で待機してくれていたのだろう、ドアはすぐに開く。俺はインタホンに出た男性に挨拶をする。
「
「お久しぶりです
「そんな……大先輩だなんて、歳がばれちゃうじゃない」
ササメが軽くほほをふくらませると、
「パブパブ!」
「バブバブ!」
「バプバプ!」
子供たちもササメに賛同する。
「あわわ……ごめんなさい……」
「もう、
ササメの年の離れた妹の
「パブパブ♪」
「バブバブ♪」
「バプバプ♪」
仏頂面だったヒサメは、子どもたちを見ると、とたんに表情をかえ、三つ子のほっぺたをかわがるがわるツンツンしながら、猫なで声ではなしかける。
「ヒーちゃん、カイくん、ミッチャンもいらっしゃい♪ ササメお姉ちゃんですよ~♬」
「お姉さんちゃなくて、おばさんだろ?」
「もう!! そーゆーとこ!!
「ご、ごめん、すまないササメ」
気のせいだろうか、ササメのやつ、
でも、まあ、ヒサメには頭があがらない。俺なんかじゃあ一生縁がない、こんな豪華なマンションを住処として貸してくれるのだから。
「でも、本当に助かったわ、
「構わないさ。今までもロカのADをやらされていたんだから、似たようなもんだ」
厳密には、
ササメは、
そんなわけで、空き部屋となってしまうこのマンションに、俺たちが転がり込んだというわけだ。
ヒサメは、俺たちが持ってきたお茶菓子を食べながら、自身が振る舞ったアールグレイを飲みながらササメを見る。
「本当に悪いわ。姉さんにはカノエの世話まで押し付ける事になっちゃうから……」
「うふふ、大丈夫よ。もうひとり、歳の離れた妹ができたみたいで嬉しいわ」
「うーん……妹っていうより、手のかかる赤ん坊がひとり増える感じだと思うけど」
俺は、苦笑いをするヒサメに質問をする。
「そういえば、
「右足を失う重症ですものね……やっぱり引退?」
ササメの質問に、ヒサメはメガネを光らせる。
「姉さん、カノエを見くびってもらっちゃ困るわ! 今も屋上で絶賛リハビリ中よ」
「そうなのか。リハビリは順調か?」
「もちろん! なんなら、
「え? 俺が??」
まいったな……いきなりの宣戦布告に俺はとまどう。
「あら、ひょっとして長年連れ添った
なんだなんだ? ずいぶんとあおってくる。ヒサメのやつ、どうしても俺と
「わかったわかった。元最強探索者の実力、みせてやろうじゃないか」
「そうこなくっちゃ!! それじゃあ、さっそく屋上へいきましょう!!」
ヒサメは再びメガネを光らせると、意気揚々と俺たちを屋上へと案内した。
元最強探索者のおじさん。美少女配信者を助けて大バズりしてしまった。 かなたろー @kanataro_
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