カレー
ピーコ
カレー
私は会社に大損をさせてしまった。注文の数の桁を間違えて打ってしまった。とんでもない桁だった。上司に、怒鳴りつけられ、お前は、もうクビだなと言われた。受注先にも謝りに行くように言われ、先ほどまで、何時間も土下座をして謝り続けていた。やっと解放された。また、会社に戻らないと。戻りたくない。戻ったところでクビだ。
もう、死にたい。はー、腹へった。こんな時でも腹って減るんだな。ここどこだ。完全に迷った。
携帯で地図見ればいいか。携帯をポケットから取り出した。電源が切れてる。嘘だろ。私は、スペシャル方向音痴だ。ありえない。それにしても腹減った。最後の晩餐に上手い飯が食べたい。
どこかに上手い店ないかなー。キョロキョロあたりを見回していると、一軒の洋館を見つけた。
蔦が絡まる緑色の洋館だ。なんか、お化け屋敷みたいだな。中から、いい香りがしてきた。カレーの匂いだ。この家から匂いがしている。いい匂いだなー。ドアを開けてみた。いらっしゃい。中から小さいお婆さんが出てきた。白髪頭を引っ詰めてお団子にし、黒いエプロンに白いレースのエプロンをしている。ここ、お店なんですか❓
はい、ここは、カレー屋です。たくさんのメニューはありません。カレーだけです。構いません、お腹が空いてて、たまらないので。はいはい、ちょっとお待ちください。カレーのいい匂いが店内を漂っている。どうぞ。お婆さんがカレーを運んできた。見た目は家庭的なカレーだ。一口、カレーを食べた。上手い。こんな上手いカレー初めてだ。肉もすごくやわらかい。お婆さんに話しかけた。このカレー美味しいですね。肉も柔らかくて上手い。この肉なんですか❓子供の肉ですよ。
子供の❓仔羊とか仔牛とか、子ウサギとかかな❓いいえ、人間の子供の肉です。先日、お客様で来た5歳くらいの子どもの肉です。またまた冗談を。冗談じゃないですよ。人間の子供の肉が1番美味しんですよ。お婆さんの目は笑っていない。怖い。帰ろう。私が立ちあがろうとするとお婆さんが肩を掴んできた。すごい力。大男くらいのものすごい力。返しませんよ。最近、材料が集まらなくて
困ってたんです。仕方がないのであなたを材料にします。まだ、20代前半くらいでしょ。子供には味は負けるかもしれないけど、仕方ない。お婆さんは、微笑んだ。私は失神した。その後のことは、誰も知らない。わかっていることは、このお店が今日も開いてるってこと。
カレー ピーコ @maki0830
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます