父と母

 「知識は知ろうとすればするほど理解できるし、自分に返ってくる。だが、知ろうとすればするほど分からなくなり、心の距離が遠くなるのが男と女だ」


 昨日、父が大好きな哲学の本を読みながら、そう言っていた。


 そんな父の横で、母は少女漫画を読みながら薔薇エキスのパックを顔に乗せて、熱心に鏡を見ていた。


 パックが終わると、父が好きなハイボールとゴディバのチョコレートを用意し、父の前に置いた。


 そして、横に座ると、父の大嫌いなキムチを食べながら芋焼酎を飲み始めた。


 その日私は、お見合いの話を断り、大学生の時に彼と撮った写真が貼られたアルバムを一晩中眺めていた。






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才能がある男 一郎丸ゆう子 @imanemui

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