最初にKAC第3回目のお題を見たとき、すったもんだの方が相性良さそうだなぁと思ったものです。なんやかんやは、色々な経緯があったのでぐちゃぐちゃになってほしくないというか……。そんな懸念は、冒頭で即消えました。読者の感情の起伏がぐちゃぐちゃになる、尊い成分がふんだんに盛り込まれています。かくいう私はしごおわの電車の中で、心の声がどばーと溢れそうになるのを必死で堪えました。
同棲カップルの矢萩と夜宵。彼らはドラッグストアへ『あるモノ』を買いに来た。墓場まで一緒に居たいとピュアな想いを持つ矢萩は、恋人の一言一言に動揺してしまい――。ジャンルならではの純粋で微笑ましい、それでいてドキドキするようなやり取りが詰まっていると感じました。前半部分の日常やり取りも、彼らの信頼関係、想いの強さがあってこそ温かいのでしょうね。ぐちゃぐちゃ考えるのもまた、かわいらしい。