『ガール・ライク・ボーイ』―日本霊異記『力ある女の、力捔(くら)べを試みし縁』RemiX

小田舵木

『ガール・ライク・ボーイ』


 ウチは女の癖に、馬鹿みたいに力が強い。ついでに体格も阿呆アホみたいにデカい。

 お陰でまあ、女のような真似は出来なかった。

 気がつけば男の子と遊び、男の子のように振る舞うようになっていて。


木津きつーグラウンドでサッカーしようぜ」同級生の男子の誘い。

 木津とは私の名字だ。フルで言うなら木津きつおと。下の名前いっちょ前に女なのが自分でも違和感ありありだ。

「おう…っと悪いが―先行っといてくれ」ちょっとトイレにがある。こんなもんウチには必要ないと思うんだが。


 ―木津さんは生まれる性別間違えてるよねえ。


 なんて。そんな声が聞こえないでもないウチの日常。そこに悪意が無かろうとけなされているようにしか思えない。

 ウチだって―。一応は女だ。だのに妙なユニセックス具合で困ってる。顔つきが父親に似て鋭くて。でも出るべきラインはしっかり出始めてる…母親に似始めたのだ。

 こういう、。不協和きわまりない。

 最近は男子とスポーツする時に対策がるようになってしまった。スポブラのキツイやつで胸を潰さないと色々困ってしまう。コンタクトなプレーにも消極的になってしまっていて。


 コイツは―潮時なのかもしれん。

 いい加減ウチは―なのかも知れん。

 が。制服以外でスカートを履くと拒絶反応が出るこの体…どうしたら女のように振る舞えるというのか?



                     ◆


 ウチは―まあ。この中学校と言う社会ではよく分からない立ち位置に居る。


 男どもには、男扱いをされつつ、性的に扱われ―「おう、きっつんグラウンドでサッカーしようぜー」「…コンタクトプレーのフリして胸触ろ」

 女どもには、半を受け―「きっつん…カッコいいよね?」「おっぱいなければもっと良かったのに…」


 こういうの。なかなかにストレスだ。

 人間の脳の配線は思春期はまだまだ進行中で不安定だと言うのに―外部でも不安定な扱いを受け。


 あたしの心は落ち着きが見いだせなくて。

 あっちへフラフラ。こっちへフラフラ…いい加減どっちかに落ち着きたいんだけどなあ。

 スポーツをするのも楽しいのだ。

 

 可愛い服とか小物とか可愛いものへの欲求もなくはなくて。自分でも困る事が多々。

 こういうのをそれっぽく言うなら、アンビバレンスってトコだろうか。心理学的に言えばアニマ男性アニムス女性の引っ張りあい。

 

 こういうのをに解決する尺度は何か?―性、である。

 ところがどっこい。ウチの周りにはロクな男がいやしない。話題のアイドルたちもどうにも女性的過ぎるし…

 あたしが憧れるのは―男の匂いがムンムンするような男なのだ。極論―西郷隆盛のような。耽美たんびなもんはお呼びじゃない。


「ぬああああ」なんて女子トイレでうめく私。周りに聞かれたらどうすんだよ、とか思うが。ま、こういう日もあるって事で。


                  ◆


 は―ある日突然現れた。転校生って事だな。

 片野輪かたのりん―そのやたらフェミニンな、女を凝縮したような、彼女はあたしに衝撃を与えた―なんでこんなに綺麗なんだろう、と。

 胸元までの緩いロングヘア。顔は優しい眉に大きな眼の組み合わせ…

 

 うん。もはや歴史的エピックな衝撃だったね。クラスがどよめく理由も分かる。

 ウチは教室のいちばん後ろ、窓際の1人席で放心していた訳だが―

 ん?ウチの隣、いつの間にか席あるじゃん?まさか?

「よろしく」とかのおんながあたしの隣の席に座った。


                  ◆


 片野輪かたのりんショックはまだまだ続く。

 一応いちおー教科書を貸したりなんだりで少なからず交流があった訳だが―とりわけ強烈なショックは体力測定の日に起きたんだ。

 ウチの握力は―33キロ…男子の平均より、やや高いスコアで。まあだ。

 そして―片野である。アイツは涼しい顔して―45キロを出しやがった…あの細腕の何処にそんな筋力があると言うのか…


「片野…お前ウチより握力…あんじゃん」なんて次の測定に向かう途中で彼女に言ったさ。

「…家系の問題なの」と彼女は言う。スポーツ一家だったっけ?

「お前んちフツーのサラリーマンだろ?」

「いやね?」と含ませた言い方をする片野。

いわくつきってか?」

「そう。面倒くさいったらない」と彼女は言う。そんなにかよ?

「なんだよ?中二病かなにかか?」とウチはからかってみる。リアルにフォーティーンな私達は発病しててもおかしくはなくて。

「んな訳ないでしょうが―ただ。道場法師どうじょうほうしって怪力のお坊さんの血筋な訳。…ウチの母もよく野菜を握り潰すわよ?」おおう。そんないわくつきかいな。

「はあ。お前フェミニンな見た目なのにそんな属性持って大変だなあ」なんて阿呆あほうな感想が漏れた。

「アンタは良いわよね?カッコいい顔でスポーツ出来て?調る」彼女は少し悔しそうに言うのだけど。

「阿呆言うな。ウチは―調!今、どんだけ必死こいて胸潰してるか―」あ。デカイ声で言っちまった。男子の視線が胸元に集まるのを感じる…気持ちわりぃ。

「それはさぞかし苦労しそうね?私は―まな板だから」と彼女は言う。だが、どっちかと言えば片野はスレンダーで。それもまたフェミニンだと私は思うのだが。

「いいじゃんよ?胸なんかデカくたって良いことはない」実感のこもったウチの言葉。

「乳がんになりやすそうだしね」完全に無根拠な嫌味だ。

「揺れると痛い」なんてオマケも教えてやる。クーパー靭帯じんたいは仕事をしないのだ。

「嫌味?」なんて片野は言う。そういうつもりはないんだが。

「ただのだ…」と言っては見るのだが。方向転換として適切だっただろうか?

「アンタとガールズトーク?笑わせないで…」と完全にカチ切れ気味の片野。案外あんがい導線が短くて困る。

「ガールもどきィ?お前喧嘩売ってんのか?」ウチもそんなに導線長くねえ。

「売ってるわよ…私にないもん持ってる癖に―嫌味たらしい」と彼女は言う。

「お前だって―あたしが欲しいモノ持ってる癖に突っかかりやがって…」なんて啖呵タンカは切ったが―どうすんだろ?喧嘩したらボコられるのは確実で…


                    ◆



 思春期の華は喧嘩だ。間違いなく。

 そしてウチと片野はキャットファイト乱闘をしたのだ―が。

 まあ、結果は想定内。私ががっちり馬乗りになられ、上から良いのを貰い―気絶した。あのアマ容赦なしかよ…


「―木津さん」と声が聞こえる。ああ。頭がガンガンしやがる…

「木津さん!!」ああ。うるせえなあ。

「―るっせえな。聞こえてるっつうの」とウチは応えて。

「やっと―目覚めてくれた」と言うは…お前か片野。なんだあ?センセに言いつけられたか?

「…お前がシバいたんだろうが」とウチはなじる。

「悪かったわよ…」と萎れる片野。どうした?さっきの勢いはよお。

「お前、割と短気よな」とウチは言う。

「力あるとね…がつくのよ」なんて彼女は言う。物騒な女だな。お前は。

「お前は性根しょうね少年しょうねんだな、オイ。可愛い顔してるくせによ」と言う。実際ウチが男なら入れあげるルックスなんだよな…ま。な。あんまりフェミニンなもんで敵をつくり易そうだ。

「…アンタに言われると微妙に照れる」と彼女は言う。だから止めてくれよお。

「あのさ。今から胸でも見せてやろうか?」とウチは言う。いい加減男認定はキツいぜ?

「…良い。分かってるわよ。アンタは女。がそうだもの」と彼女は言う。

魚介イカくさくないってか?」そう。ウチのにおいはもっと別で。

「うん。私と同じようなにおい」そういう彼女はうつむきがちで。それがまた絵になること。

「…分かって頂けたようで何より」と返す。視線を反らしながら。

「…ゴメンね」

「良いって。ウチも悪かった…だが―」

「だが?」 

「ウチと盛大に喧嘩したからな…お前浮くぞ?」そう。盛大なキャットファイトは大勢の観客が居て。ただでさえ異質を好まない女子社会では浮くだろうよ…

「良いわよ?元から浮いてる人間だしさ。転校前も嫌われてたから」と彼女はヤケの混じる顔で言う。

「ま。だよ」そう思っちまうのだ。こんだけ可愛いと。それもまた異質な訳で。

でしょうが」男のルックスと性格に女性的なカラダの組み合わせ…まあ、女子が面白くないのは分かってら。モテ男子と気軽に接せちゃうウチはかなりウザかろう。

「…同盟するのが吉と見た」と彼女は言う。

「…お前とはソリが合わんぞ、きっと」とウチは言う。

「…私だって好きで言ってるんじゃない…実利の問題。あのクソ女子の中で生き残るには多少の妥協が要る訳で」

「妥協あんってのが気に食わねー」なんて言いつつも。ウチはありかなとも思ってる。あの同調圧力とマウンティング社会の女子達の中の



                  ◆


 

 かくして。凸凹コンビは成れり。

 ウチと片野は身を寄せ合いながら―中学時代をやり過ごし…今は女子高生で。


「なんでウチと一緒の高校にしたよ?お前頭良いんだから中央ちゅうおう女子狙えたろ?」ウチの県は高校のトップレベルはすべからく男子か女子高なのだ。昔からそういう方針であったと聞く。少子化の世の中なのにお気楽なもんだな、と思う。ちなみにミドルクラスは大抵たいてい共学。後発こうはつ校が多いからだ。ウチとコイツが進んじまったトコはミドルハイ。

「…女子校なんて行ってみなさいよ…」…言わんとせんことは分かる。

「…間違いなく喰い殺されるな」そう。なのだ。死に絶えたり、弱点を抱えているモノを見つけると集団で襲いかかり、喰い尽くす。

「男が居れば。女は大人しいものよ」

「アイツら…色気だけはいっちょ前にありやがるからな」女子が居ない男子校も悲惨と聞くが―女子高はだ。遠慮のない世界は命の取り合いにまで発展しかねん。

「色気づくのはオスだけにしてほしいけど」なんていう彼女は―綺麗で。ウチだってドキドキしてしまう程なんだが。台詞が最悪一歩手前だ。

「だよなーウチも最近はお前のお陰で女子ってたからなくなったが―ドサクサに紛れてムネ触る阿呆の多いことよ」そう。ウチは今、女子寄りの見た目をしていて。昔みたいに男子が気安く寄ってこなくなった。少しは寂しかったが…コイツが隣に居たから平気だったかな。

「アンタ…朝から喧嘩売ってる?」とりん。いや。そのつもりはない。

「…ごめんて」とりあえず挟む。

「私が―なのは何かがおかしい」そう彼女は毒と共に吐き出して。

「揉まれ足りてないんじゃない?」俗説に頼る。

「アンタも揉まれてないでしょうがっ!!」

「ウチのは遺伝。ばあちゃん凄えぞ。垂れてんの…エラい勢いで」なんて言う。これはしょうがない話なのだが。大きなモノを与えられた者巨乳の宿命だ。重力にクーパー靭帯は負けるのだ。残念ながら。

「…それ聞くと。デカくなくて良かったかもしれない」おう。やっと落ち着いたか…コイツは興奮しやすくて困る。ウチの5倍は喧嘩っ早い。

「そそ。こんなもんは無用の長物だって」とウチはサラシを巻かなくなった胸をさする。相変わらず足元あしもと見えねえな。

「…やっぱ殴る」

「おい…止めろ―」

 この後は意識が飛んでて覚えてねえわ…


               ◆


 高校での話…りん。アイツがしてたって話に終始しゅうしするかも知れん。

 そう。アイツの後ろには告白者の列が出来た。その持ち前のフェミニンさはウチの高校を制圧したと言っても過言ではない。

 だが。それと同時に。大量の敵を作った。告白男子達のファンやら彼女やらである。

 その露払つゆはらいを務めさせられたのがウチだ…なんでやねん。


「あんたが居なきゃ―」被害者A女史じょしりんに突っかかっている。

「逆恨みもいいとこね」持ち前の短気ぶりで喧嘩を売りにいく輪。

「煽るなバカタレ」と私はとりなす。放っとくと―。コイツは相変わらずの怪力ぶりだからな。

「…大体。アンタは何よ?」とA女史。おおう。矢が飛んできやがった。

「…コイツの露払い?」何故疑問形なんだ、ウチ。

「私のしもべ一号」なんて輪はウチを評す。ぶっ飛ばすぞ。


「あんたら―?」そう、A女史はのたもうた。


「―ちが」とウチは言いかける。そうじゃない。

「…そう。コイツは私の彼氏なの」そう輪は言った。誤魔化ごまかしにしては低級だろ…阿呆きわまりない。

「うっわ」とA女史は引いて下さる。…、適当に合わせるか。どうせ浮いてる学校生活だしな。

「そうだよ…ウチとコイツはろだ…意味分かるか?」なんてノリノリでってみるウチ。やるならとことんがモットーで。この馬鹿が噂を流しゃあ少しは輪の後ろもくだろう。


「…時代だから何とも言わないけど―」とかの女は言う。時代の子の癖に常識で凝り固まってらっしゃる。

「キモくて結構。なんなら聞く?詳しいハ・ナ・シ」輪…愉しくなって遊んでんな…

「聞かない。気持ち悪い…」そう言って彼女は去っていった…後は頼むぜ。


                    ◆


「…あのさあ」とウチは気まずい沈黙を破る。

「あん?」と不機嫌そうな輪はこたえる。

「ウチら…レズ認定されちまったぞ?」良いのか?それで?お前は。

「…手間が省ける」と彼女は言う。こういうドライな所が彼女らしい。ウエットさがない。

「ウチは―別に構わん。好きな男居ないしな」ウチのタイプは筋肉偏重へんちょうな、あのスキンヘッド海外俳優の彼な訳で。最近のナヨナヨした奴らはお呼びじゃない。時勢に逆らおうが知った事か。

「私も構わない…」そう彼女は言うが。何故そこで区切る。

「…」生唾飲み込んじまったぞ。変に緊張させるな。


「…一度てみる?」なんて彼女は言うが。をだよ。胸の音が変に高まるからやめろや。

「…デートよ」一拍いっぱく置いた後でやっこさんは言ったね。

「…いつも遊んでんじゃんよ」と私は返す。お互い友達少ねえから、おのずとコイツとばかり遊んでる…

「…真面目にやってみない?」と彼女は俯きがちに言う。

「…真面目とは?」うん。こうやって遅延ちえん戦法に持ち込むのはウチの悪い癖だ…

「…手とか繋いでみたり?」上目遣いでそういうりん


 あたしは―

 それどういう感情が分からなくて。混乱して。立ち尽くす。


「黙るなっ!!!」そう言ったりんの頭への一撃で―

 撃沈してブラックアウト―


                  ◆


 かくして。

 妙な状況は始まった。このコメディの書割かきわりは街だ。そして状況として―りんがウチの手を握っている。タジタジで汗が止まらん。なんでだよ。同性相手じゃねえか…


「…ウチの手、ヌルヌルしてね?」つい、そう聞いてしまう。

「汗びっちょりね…可愛い」なんて輪は返す。いつも交わしてるハズの軽口が今日はに思えて。

「あのなあ」とウチはとがめる。どういう意味だ、それはよ。

「何よ?褒めてんのに」と彼女は言う。何でもなさそうに。

「…お前。やってない?」そう問わざるをえん。

「何が?」と彼女は聞くのだけど…これそういう遊びですか?

「ウチをからかって―遊んでる。可愛いがウチにとってどういう意味か―分かってんだろ?」そう、言われ慣れてない台詞をガチ目に言われると。ドキドキして。心臓が高鳴って。体に甘い痺れが走って。あたしは…女なのに。。その矛盾にも体がおののいて。なんだかもう何がなんだか分からない…

「分かってる…」そう言いながら手をほどき…細い指を私のてのひらにのせ、つぅっと走らせるりん。止めてよ…こんな街中で。


「…だああああ」とウチはその手を振り解く…


「…いけず」と輪は笑いながら言う。そして少し潤んだ目をあたしに向けて来る―

「お前なあ」とあたしは啖呵タンカを切ってはみるものの。

「…ひと勝負―する?」なんて構えを取るのは止めて頂きたく。

「千パー負けるけどなあ」とあたしもファイティングポーズを一応取っておく。

「別の勝負でも良いけど」と空に目を向けながら言う輪。

「どういう意味だ?ボウリングとかか?」なんて話をらす、あたしは弩級どきゅうのチキンだ。

「屋内という意味では正解」うん。だから止めて。それにこたえるのは―

「…あたしは」と微かな声を絞り出す―


                  ◆


 結局。

 あたしは―

 そう、りんは…側だった。いつもの怪力具合で馬乗りになられて―後は想像して頂いた通り。


「…良かったわよ?」なんて傍らの輪は言う。

「…このアマ」とあたしはこたえつつも。

「私達―あったのね」なんて言う彼女。分かってないのに誘ったんかい。…勢い重視の彼女らしい。

「お前なあ…そういうのは段階むもんだ」とあたしは応えて。

「良いじゃない。手間が省けた」簡潔な要約。

「あーあ。あたしはなのか」とこぼす。見た目だけなら―なんだけど。

「可愛かった…もう一回あの顔見たい…」とあたしにおおいかぶさる輪―


                 ◆


 この後の詳細は書かない。

 そう。この書き出しは

 


 時間は指の先から崩れ落ち、何処かに向かっていく。

 永遠を追い求める人間は決してそれを掴む事はない―。永遠を追い求める…そうする限り、永遠という止まった時間の中には居られない。


                  ◆


が出来た」大学生になったあたしはその台詞をベッドの上で聞いた。

「…そう」すっかりあたしはそう応える…そう、。男の属性が滑り落ちていったあたしには何の価値もない…らしい。

「これで…最後」と彼女は言う。

「…そう。ありがとう」なんて思ってもないことを言って。

「―ゴメンね」と言う彼女はただ美しくて。

「いいえ。あたしこそ―」そういう。悔しいけど、そういうことなのだ。人が人にひかかれるという事は。

「…友達で居てくれる?」そういう貴女あなたずるくて。

「…無理だよ」とあたしは言う。


                  ◆


 永遠は―ほどけ。

 あたし達は違う未来を歩んでいって。


 あたしは終生、こっちのセクシャルであり続けるだろう。

 一方の彼女はヘテロに転身して。来月結婚するらしい。


 その知らせをあたしは。独りきりのベッドで見ていて。

 チープな上質紙のハガキ。その裏には彼女と配偶者の写真。

 粗い目の紙に印刷された彼女もまた美しくて。

 

 閉じた1個の輪。それがいまのあたし。それは彼女以外の輪を受け入れず…永遠にこい続けるのだ…



                 ◆

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