第19話 希一くんは私のヒーローです
「悠衣ちゃん、好きだよ。大好きだ……俺が一生、君のことを愛し続けるからね」
壊れた喋る幼児玩具のように、仕切りに愛を繰り返す言葉を聞き流していた。弄る指、捲り上げられたスカートの裾。あぁ、あの日の状況と情景が重なって、フラッシュバックする。
前はこのタイミングで希一くんが助けてくれた。
その瞬間に最悪だった思い出が、かけがえのない想い出に変わったのだ。白黒だった世界に彩りが蘇った瞬間。だが今度は逆だ……、色が、消えていく。
彼の唇が首元に触れた瞬間、ドアを蹴り破り、倒す音が響いた。誰、と顔を上げると、そこには希一の姿が見えた。
「悠衣さん!」
「希一くん!」
なぜここに? あまりにも出来すぎた現実に、驚きを隠せなかった。またしても彼は、私のピンチに駆けつけてくれたんだ。
その勢いのまま火澄に蹴りを繰り出し、最低な状況から救い出してくれたのだ。まだ状況を理解しきれていない私は、呆然としながら身体を起こしたが、目の前に現れた手を取り、そのまま廊下へと飛び出した。
「希一くん、何で?」
何故、私の居場所が分かったのだろう? すると彼はスマホを取り出して、一つのアプリを見せてくれた。
「ごめん、本当はちゃんと言うつもりだったんだけど……このカップル専用の通話アプリ、GPS機能がついていたんだ。だから、それで……」
位置情報を取得したということだろうか? 一体いつの間に? ううん、それよりもこの希一の行動はまるで、
「そりゃ心配にもなるでしょう? こんなに可愛い彼女、心配しないわけがない」
「希一くん……♡」
嬉しい、ものすごく愛を感じる。あまりの感情の昂りに、そのまま抱き着いて何度も何度もキスを交わし合った。好き好き好き好き、大好き……♡
「それと暁の件だけど、色々とゴメン。僕、あの時は少しムキになってて」
暁さんの件? あぁ、あの時のことは、もうどうでもいい。
そもそも暁さんが希一くんのことを好きだったとしても、私達には関係ない。今、彼の彼女は私なのだ。他の人が入ってこれないように仲良くするしか方法はない。
「希一くん、私……あなたが大好き♡ 好きで好きで、好きすぎてどうにかなりそうです♡」
「悠衣さん、重たいです。でも、その重さを感じないと、僕ももう満足できなくなってしまいました。悠衣さん、責任取ってくださいね?」
そう言って二人は手を繋いで、ずっとずっとキスを続けていた。
△ ▼ △ ▼
「ちょっとー、私……納得できないんですけどォー?」
せっかく東悠衣と高橋希一の間にツケ入れる亀裂ができたと思ったのに、蓋を開ければ地固まるって奴じゃない。
「まぁまぁ、いいじゃないでゴザルか。悠衣キュンも元気のない希一殿は嫌でゴザルぞ?」
「そうだけどー……あー、私もイチャイチャしたい! キュンキュンする恋がしたい‼︎」
そんな言っているうちは無理なんじゃと飯山ゴザルは思ったが、あえて口にはしなかった。
「希一殿、拙者にも夢を見せてくれでゴザル」
二人だけは、ずっとずっと仲睦まじく、重たい愛を貫き通して欲しい。
・・・・・END★
こんにちは、中村青です。最後までお読み頂き、ありがとうざいました!とりあえずキリの良いところで「チカンから助けた美少女がヤンデレで、僕まで病みそうです」完結にしました。
また気が向いた時にエピを追加するかもしれませんが、一先ず……。
プロットがここまでしか出来てませんでした、すいません。
あと、少し宣伝……9月19日から始まる「運命を変える恋コンテスト」に募集予定の作品…… 「魔族討伐の最前線で戦わされる不遇の聖女、強面兵士に守られることになりました(一途な溺愛系との蕩けるほど甘い日々❤️)」
https://kakuyomu.jp/works/16817330663226248007/episodes/16817330663226452813
異世界恋愛小説で、一途系ですので……悠衣の一途が好きな人は是非、応援頂けると嬉しいです! 2話までは重いので、できれば3話……とりあえず彼の家に行くところまでは読んでもらえると満足です。
では、最後にお願いを……。
よろしければレビューや★をポチっと。文字が苦手なら★だけでも……! 執筆の糧になりますので、皆様の力を分けて下さい。
それでは、希一と悠衣の歪な恋愛話、最後までお読み頂きありがとうございました!
チカンから助けた美少女がヤンデレ過ぎて、ボクまで病みそうです 中村 青 @nakamu-1224
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