2月の鬼たちの仕事

ミンイチ

第1話

 今年も2月がやってきた。


 しっかりと1月担当の神様の引き継ぎは終わらせ、2月担当である我々──鬼に仕事が回ってきた。


 2月に入ってまずやることは、豆の管理だ。


 各家庭に必要数用意してあるか。全国のスーパーの在庫は十分であるか。などなど、節分への準備だ。


 この頃は豆がわりにピーナッツを使う家庭もあるので、ピーナッツの在庫も管理しておく。


 そして節分当日、我々はビジネススーツを脱ぎ、代わりに虎柄のパレオを履いて街を巡る。


 とても寒いが、これも日本の伝統文化を守るためだ。


 そしてその翌日、風邪を引いてしまった者以外で恵方巻きのために来ていただいた七福神の方々をお送りして通常業務に戻る。


 少し前までは2月の大きな催し事は節分くらいしかなかったが、バレンタインが日本の文化に根付いたことでそちらも我々の管轄になった。


 前日までの仕事は節分の時の豆の管理と似たようなものなので楽だが、当日はとても忙しい。


 まず、早朝の学生の登校よりも早く各学校に行き、生徒にバレないように机と靴箱を見張る。


 事前に調べた情報をもとに、チョコレートを渡す相手を間違えている時に本当の相手の手に渡るように仕組むのだ。


 そして、彼らの告白がうまくいくように神様方をお呼びしたりもする。


 次の日、我々はお呼びした神様方をお送りして、また通常業務に戻る。


 残りの催し物はこれら2つよりかは軽いものなので3月への引き継ぎに時間を割くことができる。


 そして3月の神様方に引き継ぎが終わると、この1ヶ月に使っていたオフィスビルを離れ、家へと帰るのだ。


 鬼ヶ島へと・・・

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2月の鬼たちの仕事 ミンイチ @DoTK

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