第68話:翌日の放課後

 翌日の放課後。


「ふぁあ……ねっむ……」


 俺は大きな欠伸をしながら自分の机に突っ伏していた。


 結局昨日は結局深夜3時くらいまでゴリさんと一緒にゲームをしてしまった。そのおかげで今日は一日中ずっと眠気と戦う羽目になってしまったんだ。


「んー、これは多分ゴリさんも今日は一日眠気と戦う羽目になっただろうなぁ……って、しまった。早く生徒会室に向かわなきゃだな」


 今日は生徒会の定例会議の日だ。確か今日の議題は来月の卒業式の段取り関する打ち合わせの日のはずだ。


 という事で俺は急いで荷物をまとめていき、そのまま学生鞄を持って生徒会室へと向かって行った。


「でもこれが今年度最後の学校行事になるのか……うーん、何だかそう思うと感慨深いものがあるよなぁ……」


 俺は一年生ながら生徒会に参加して様々な学校行事の運営に携わってきた。主な仕事としては会計役としての仕事を任されてきたんだけど、でもそれ以外にも色々な雑務をこなしてきていた。


 体育祭では色々な備品が壊れていて急いで発注していったり、文化祭ではお金が足りないから部費を上げてくれって交渉してくる色々な部活と対話をしたりさ……って、あれ? でもよく考えてみると……。


「……いや、よく考えたら一年生の新人がやる仕事量じゃなかった気がするな……」


 冷静になってみるとそんな気がしてきた。何だか今年は例年よりも仕事が多かったらしく、一年生の俺にも沢山の仕事が割り振られていったんだ。だから今思うと恐ろしく忙しい一年だったな……。


(まぁでも……俺としては生徒会の仕事を沢山貰えた方が嬉しかったりもするから別に良いんだけどさ)


 だって仕事があるという事で毎日生徒会室に行く口実が出来るわけだしな。そして生徒会室に行くと必ずあの人が……。


―― ガチャ……


「ん? あぁ、神木君。お疲れさまー」

「あ、せ、先輩! お疲れ様です!」


 だって生徒会室に行くとほぼ確実に副会長の七種先輩に会えるんだからな!


 七種先輩も副会長として尋常じゃない程の仕事量を抱えているから、七種先輩はほぼ毎日放課後はこの生徒会室にいるんだ。


 だから俺も出来る限り仕事を貰っては毎日のように生徒会室に足を運んでいたというわけだ。まぁ俺も七種先輩も仕事が多すぎて滅多に先輩と話す機会はなかったんだけどさ……。


「それにしても神木君は毎日生徒会室に来てくれて本当に偉いよね。いつも本当にお疲れさまだよー」

「い、いえ、仕事ですから当然ですよ! 七種先輩こそいつも本当にお疲れ様です!」

「うんうん、ありがとうー。ふふ、それじゃあ今日もお互いにお仕事頑張っていこうね!」

「は、はい! 頑張っていきましょう!」


 という事で俺は生徒会室に入ってから、すぐに七種先輩に向かって大きく挨拶をしていった。


 そして他の生徒会メンバーはまだ誰も来ていないようだったので、俺は何食わぬ顔で七種先輩の座っている近くの席にそっと静かに座っていった。


 まぁそうは言っても流石に直で隣に座るのは恥ずかしかったので、二つ隣の席に静かに座っていった。


(うーん、それにしても……今日も七種先輩は凄く綺麗だなぁ……)


 俺は二つ隣の席に静かに座っていきながら、仕事に集中している七種先輩の姿をチラっと見ていった。


 七種先輩はシュッとしたモデルのようなスレンダー体型でサラサラの黒髪ロングヘアが特徴的なとても美人な女子生徒なんだ。


 しかも性格に関しても非常に温厚で誰に対しても優しい心で接してくれるという本当に完璧すぎる先輩なのであった。


 そしてそんな素晴らしい七種先輩の事を、俺達一年生は尊敬の念を込めて『立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は千紗子さん』と呼ばれていたりもする。それほどまでに俺達一年生からは尊敬されている素晴らしい先輩なんだ。


(はぁ、でもせっかく生徒会に入ったのに……七種先輩とは未だに全然話せてないんだよなぁ……)


 そして俺が生徒会に入った一番の理由は、こんなにも優しくて素敵な七種先輩と親交が深められるんじゃないかなって思ってすぐさま生徒会に入ってみたんだ。


 まぁそりゃあ俺だって思春期男子だからさ、七種先輩のような素敵な先輩と少しでもお近づきになれるのであれば……っていう淡い期待を込めて生徒会に入ったんだよ。


 でもそしたら想像してたよりも遥かに生徒会の仕事が多くて大変だったので、結局七種先輩とお近づきになれるような素敵なイベントは一度も発生する事なく二月を迎えてしまったのであった……。

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煽り煽られしてたネトゲ仲間が品行方正な美人先輩だった話 tama @siratamak

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