第67話:ゴリさんからバレンタインの相談事が飛んでくる?
『あ、そういえばさ』
「ん? どしたんすか?」
という事で俺達は深夜からいつも通りFPSゲームの協力プレイをしていたんだけど、でもそのゲームの待機時間中にゴリさんは俺に向けてこんな事を話しかけてきた。
『いや正直クロちゃんには一切関係無い話だとは思うんだけどさ、世間一般的にはもうすぐバレンタインじゃん?』
「あー、はい確かにそうっすねっておいっ! 俺に一切関係無いってどういう事っすか!?」
『え、クロちゃんに関係あるの?? ふーん、それじゃあクロちゃんは去年チョコ何個貰ったん? ちょっとお姉さんに正直に言ってみなよ?』
「え……えっ? い、いやそれはその……」
『んー? どうしたのいきなり黙っちゃってー? もしかして何か不都合でもあったのかなー? どしたー?? 話きこかー??』
「ぐ……ぐう……」
俺は何にも言い返せずにひたすらと唸り声を上げる事しかできなかった。もちろん去年のバレンタインのチョコは母親から貰ったチョコ1個だけだ。でも悲しいから絶対にそんな報告はゴリさんにはしない。
「……それで? 俺の話は置いといて、バレンタインがどうしたんすか?」
という事で俺は自分の話は誤魔化しつつ、ゴリさんの話に戻るようにそう尋ねていってみた。
『あぁ、うん! えっとね、実は学校の友達とか後輩にチョコあげようと思うんだけどさ……』
「え、そうなんですか? へぇ、意外とゴリさんも女子っぽい事してるんですね?」
『アッハッハッハ! クロちゃんは知らないのかもしんないけどさー、実はアタシって生物学的には女子なんだぜ?? しかも超可愛いJKなんだぜ?? あれ、もしかしてクロちゃん今までずっと知らなかったのかい??』
「あはは、もしも本当にゴリさんが超可愛いJKだとしたらさっきから俺がキルパクしちゃった度に“テメェブチ殺すぞ”なんて物騒な言葉を連呼するわけないんだよなー」
『あはは、何言ってんのよクロちゃんさー! 超可愛いJKであるアタシがそんな物騒な事を言うわけあるからな???? テメェこれ以上アタシのキルレ下げたら本当にブチ殺すからな??』
「いやめっちゃ怖いって!! ってかやっぱりゴリさん可愛さの欠片もないじゃん!! 口調完全にヤクザじゃん!!」
という事で今日も俺はゴリさんから物騒な言葉を貰っていったのであった。
いやまぁいつも俺達はお互いに煽り合ったりブチギレ合ったりする仲なので、こんなのは俺達の挨拶みたいなもんなんだけどさ。
『ぷはは、冗談だよ冗談! まぁそんなわけでさ、今年はチョコを渡そうと思っている後輩の中に男の子がいるんだよね。だから男の子ってどんなチョコが良いとかってあったりするかな? もし良かったらそこら辺の意見をクロちゃんに教えて欲しいんだよ』
「あぁ、なるほど、そう言う事ですか。はい、まぁ俺で役立つようなら何でも相談に乗りますよ!」
という事でゴリさんからの相談事とはバレンタインに後輩の男子に渡すチョコをどうすれば良いかという内容だった。
『うんうん、ありがとうー! あ、それじゃあ早速なんだけどさ、男の子ってどんなチョコが好きだったりするのかな? やっぱり甘いチョコよりはビターなチョコの方がいいんかな??』
「うーん、そうですね……まぁそこら辺は男子でも普通に甘いチョコの方が好まれるんじゃないですかね? だって俺もチョコは日常的にお菓子で食べますけど、でもビターチョコは正直美味しいと思った事は一度も無いですもん」
『へぇ、なるほどね! 何だか男の子って女の子とは違って甘い物はあんまり食べないイメージがあったから、今のクロちゃんの意見は凄く参考になるなー!』
「あはは、確かにそういうイメージはあるかもしれないっすけど、でも普通に甘い物好きな男子の方が多分多いと思いますよ。あ、そういえばゴリさんってバレインタイのチョコは手作りにするんですか? それとも市販のチョコを渡すんですか?」
そういえばゴリさんってお菓子作りとかしたりする方なのかな? 何となく気になったので俺はそんな事を尋ねていってみた。
『うーん、まぁいつもは市販の美味しそうなチョコを買ってきて渡してるんだけど、でも高校二年生になってアタシにも慕ってくれる後輩が出来たからさー、だから今回は頑張って手作りチョコでも作ってみようかなって思ってる所なんだ』
「へぇ、そうなんですね。はは、確かにそれは先輩としてゴリさんの良い所をしっかりと見せたい場面ですよね! それじゃあゴリさんが先輩としての威厳を保てるように俺もここから応援してますよー!」
『うん、ありがと! それじゃあクロちゃんの意見を参考にして今回は甘めのチョコレートを手作りにしてみようかなー』
そう言ってゴリさんは楽しそうにしながら俺に感謝の言葉を伝えてきてくれた。
「はい、是非とも頑張ってください! ……って、あれ? でもそういえばこんな質問をしてくるって事は……もしかしてゴリさんって今まで男子にバレンタインチョコを渡した事って一度も無かったんですか?」
『ん? あぁ、うん、そうだよー。仲の良い女の子とはいつも友チョコ交換はしてたんだけど、でも男の子でそこまで仲の良い子は今までいなかったからさ、だから男の子にチョコをあげるのは今回が始めてだよー!』
「へぇ、そうなんですね! はは、始めて男子にバレンタインチョコをあげるなんて物凄いエモい体験になりそうっすね。きっと後輩の男子も先輩からの手作りのチョコを貰えたら嬉しいと思いますよー!」
俺だったら女子から手作りのチョコなんて貰ったら絶対に嬉しくなるだろうな。でもいいなぁ、いつかは俺もバレンタインに女子から手作りのチョコとか貰ってみたいなぁ……。
『あはは、そうだね。喜んで貰えたら凄く嬉しいなー。って、あ、そうだ、それじゃあ他にも何か男子目線でバレンタインのチョコでこうしてあったら嬉しい事とかってあったりするかな?」
「え、他にですか? うーん、そうっすねー……あ、そういえばその男子ってゴリさんから見てどんな感じの男子になるんすか?」
『え、どんな感じって?? どういう事よ?』
「あぁ、えっと。その後輩の男子と付き合う可能性というか……ゴリさん的には彼氏にしたい感じの人なんですかね?」
バレンタインにチョコを渡すという事は、そういう可能性もあったりするのかなと思ったので俺はその事も聞いてみる事にした。
『あぁ、いや別にそんな事までは思ってないよ。普通に友チョコを慕ってくれる後輩にあげるだけだよ。でもそれがどうしたの?』
「あぁ、そうなんですね。いや、もしもゴリさんが好きな男子にチョコをあげるとかいう話なら、男子高校生ってのはマジで単純な生き物なんで、ハート型のチョコをあげたり、ラッピングをめっちゃ可愛くするだけでほぼ確実に惚れられるっていうアドバイスをあげようかなって思ったんすけどね」
『えっ!? たったそれだけで男の子って惚れちゃうの?? ぷはは、それは良い事を聞いたなー! うんうん、それじゃあアタシが付き合いたいって思う男の子が現われた時には、頑張って大きなハート型の手作りチョコをプレゼントする事にするよー!』
「あはは、それは良いっすね! 是非ともゴリさんに好きな男子が出来た時は試してみてくださいね!」
という事でその日はそんなバレンタインチョコについての談義をゴリさんとしながらゲームを続けていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます