間章:今から半年くらい前のバレンタイン付近の話

第66話:2月上旬にしたゴリさんとの会話

 今からおよそ半年程前の2月上旬。深夜0時過ぎ。


『へいへい、クロちゃーん! ランクマいくべ!!』

「い、いきなり通話要求してきたと思ったら今からランクマっすか!? 流石に何の準備もしてないんでちょっと待ってくださいよ!』

『うんうん、了解だよー!』


 急にゴリさんから通話要求が飛んできたので、俺は何の気なしにその通話を受け取ってみると、それはまさかのLPEXのお誘いだった。


「い、いや、というかそもそもこんな時間からゲーム始めて良いんすか? もう深夜0時っすよ? それで明日は普通に平日っすよ? ゴリさんだって学校あるでしょ?」

『いやいや、何言ってんのクロちゃん! 今日から新アプデが入ったんだからとりあえずランクマ潜るに決まってるでしょ! だから今すぐやるぞ!』


 ゴリさんはとても嬉しそうな口調でそんな事を俺に言ってきた。まぁアプデが入ったらそりゃあ嬉しいに決まってるよな。


 という事で実は今日はLPEXの新アプデが追加される日だったんだ。でもLEPXは海外産のゲームなので、アプデ時間は基本的に日本時間の深夜帯に入るんだ。


 なのでゴリさんはそのアプデが入った瞬間に俺の事を誘ってきたというわけだ。


「いやまぁ俺はゴリさんが誘ってくれるんなら全然やりますけど……でもゴリさん明日の授業中に寝ちゃっても知らないっすよ?」

『あはは、大丈夫大丈夫! だってアタシ授業中に寝ちゃったりした事なんて一度もないからね! ふふん、実はアタシって学校だと超真面目で優等生なJKとして有名なんだぜー?』

「ぷははっ! ゴリさんが超真面目な優等生とか面白すぎる冗談やめてくださいよー!」

『いや本当の事だし、ってか何笑とんねん!! 今だってアタシから超真面目で優等生なオーラが漂ってるでしょうが! はぁ、全くもう、これだからクロちゃんはなぁ……女の子のそういう所にちゃんと気が付けない男の子は一生モテないぞー?』

「いやそもそも超真面目で優等生な女の子は月一で24時間耐久ペクス配信とかいう完全に頭悪い配信する訳ないんだよなー。というかたまにああいう耐久配信とかすると体内時計とかバグったりしないんすか??」

『あぁ、いやそれが意外と体内時計はバグらな……っておい! 人が一生懸命に考えた企画を何馬鹿にしてるのよ! めっちゃ面白い最高の企画でしょうが!』

「あはは、まぁ確かにゴリさんの耐久配信はめっちゃ面白いっすよ! だから次の耐久配信も待ってるんで早くお願いします!」


 そう言って俺は笑いながらゴリさんのウーチューブの話を振っていった。


 今からおよそ半年くらい前にゴリさんは俺の土日休みを潰すためだけに一日限定でウーチューブの配信をやったんだけど、でもそれ以降もゴリさんはちょくちょくとウーチューブでゲーム配信をしていっていた。


「いやそれにしてもゴリさんのウーチューブチャンネルってどんどんと人気が出てきてますよね! もうすぐチャンネル登録者数6万人ですよね? あと少しで銀盾貰えるじゃないっすか!」

『あはは、うん、確かにそうだね! いやずっとやってたら見てくれる人がどんどんと増えてくれて嬉しい限りだよー』

「あはは、まぁチャンネル登録者数が増えてきたのはゴリさんがずっと続けてきたからってのも理由の一つだとは思うんですけど、でもそもそもゴリさんの配信ってめっちゃ面白いっすもん! だから人気が出てくるのは当然だと思いますよ!」

『えー、そうかなー? あはは、でもクロちゃんにそう言われると何だか自信になってくるよー! うん、ありがとね、クロちゃん!』


 俺は純粋な気持ちでゴリさんに配信が面白いと言っていくと、ゴリさんは嬉しそうに笑いながらそう返事を返してきてくれた。


「あ、でもこれからも配信を続けていくんだったら、収益化はちゃんとしておいた方がいいんじゃないっすか? ゴリさんなら上手いプレイもするしスパチャ送って貰えるんじゃないっすかね?」

「え? 収益化?」


 そう、実はゴリさんはウーチューブの配信を続けているのに、未だに収益化をしていなかった。だから今のゴリさんのチャンネルには広告収入が入らないし、スパチャも送れない状態のままだった。


 流石にそれはちょっと勿体無い気がしたので俺はゴリさんに収益化の提案をしてみた。


『んー、まぁ確かに見てくれる人も多いから収益化はした方が良いってのはもちろんわかるんだけどさぁ……でもそういうのって申請書類みたいなのを作って運営に申請しなきゃいけないんでしょ?』

「あー、まぁ多分そうなんじゃないですかね? いや、俺はやった事ないから知らないんですけども」

『まぁでもやっぱりそうだよね? んじゃあメンドイから別にいいわー』

「メ、メンドイって……いや流石にそれは勿体無くないっすか? せっかく見に来てくれる人がどんどんと増えてきてるんだし、どうせならちゃんと収益化申請しといた方が良いんじゃないっすかね?」

『いやいやー、アタシが配信をやってるのはただの暇潰しだから別にいいよ。元々そんなに配信は続けるつもりもなかったし、配信に飽きたらさっさと辞めちゃうだろうしね。あ、もちろんクロちゃんとは一生ゲームやるつもりだからそこは安心して良いからね! あはは!」


 ゴリさんはケラケラと笑いながらそう言ってきた。


「はは、まぁゴリさんはそういうスパっとした性格ですもんね。はい、わかりました! それじゃあこれからも毎日ゲームしていきましょうね!」

『うんうん、それじゃあこれからもよろしくね、クロちゃん! って、あ、もうそろそろゲームの準備出来たかなー?』

「あ、はい、ちょうど今ゲームを起動した所です! 今からゴリさんにパーティの招待送りますね!」

「うん、お願いー!」


 こうして今日も俺達は深夜から一緒に仲良くゲームを始めていったのであった。

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