墓守りの腕時計
十余一
記憶の墓場
一つ、二つ、三つ。今日も拾い集める。
時たまある
波音に僕の足音と
時折、火鋏と欠片が擦れ小さな火花が上がり、思い出が垣間見える。無骨な鉄鉱石からは無味乾燥な労働の日々が、
それらを拾おうとした途端、思いがけず一つの黒曜石が割れ、鋭い思い出が露わになる。網膜に焼き付くのは、寸分の隙もなく真っ赤に燃える空。閃光と共に黒々とした絶望が眼前に迫る。混乱の
次いで、
これらはきっと、この思い出の持ち主にとって、心が張り裂けんばかりの出来事だったのだろう。
忘れたくない大切な記憶も消してしまいたい過去も、ここには等しく流れ着いてくる。その性質上、年老いた人間から零れ落ちた物が多い。そして持ち主に返ることは無い。ガラガラと
そんな虚しい仕事に従事しながら、怯える。僕もまた、いつか大事な思い出を失い、この寂しい山の一部になってしまうのだろう。残された時間は
墓守りの腕時計 十余一 @0hm1t0y01
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。