あとがき
卒業制作を提出した。もっと良いものを書けたとも思うが、時間と技量、その他諸々足りていなかったために満足のいくものではなかった。案の定、研究室賞にさえ自分の名前は載っていなかった。それなのに、悔しいと感じたのはたかが数分であった。むしろ、何もないからこそ嬉しく思えた。自分に書く才能がないと分かったからだ。何を言っても負け犬の遠吠えにしか聞こえないだろうが。
高校時代からずっと自分には書くことしかないと思っていた。それ以外にできることも、優れた部分も、誇れることもなかったからだ。それ故に書くことが自分の中で義務になりつつあるのを見て見ぬふりしていた。それを手放したら、自分の価値を見失うから。誰も自分を見なくなってしまうから。最近になって、ようやく自分を縛るものへ目を向けることができた。そして開き直れただけの話だ。
だから、というわけではないが、卒業制作には自分の願望が微妙に混じっている。この作品を書き始めた二年前から心のどこかで消えたがっていたのかもしれない。
この世から消滅しました Re:over @si223
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