第5話 多い薬の把握は難しい

病院から戻り、彼と別々に作業をしていると声をかけられた。


「薬、片付けるとき呼んで?」


「どうして?」


とっさに彼氏に言い返すと彼は当たり前のように私に優しく声をかけた。


「俺はなぎちゃんがODしないようにちゃんと見てたい、あとはなぎちゃんが薬忘れたり酔いすぎたときに渡せるようにする。」


彼のえっへん顔に私は嬉しくなり、車の中の続きかのように泣いてしまった。


「泣かないでよ、なぎちゃん。」


「だって、彼くんが優しいこと言うから。」


心の中には彼がいっぱいで、喧嘩しても彼、病気でしんどくても彼。


普段どこからその優しさを出しているのか、と私からしたら驚くくらい優しい彼。


彼がいる間は、涙で心が潤いすぎて身体に現われたのかもしれない。


そんな甘くて反吐のでそうな感想を私は抱いて、彼に声をかけた。


「彼君、アイス入れた?」


「あっ。」


その夜は、一回ドロドロにとけたアイスを2人で分けて食べた。

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薬とお酒と時々彼氏 澪凪 @rena-0410

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