先輩の家に泊めてもらっていた夜、突如背部へ襲い来る激痛! 痛みと高熱に耐えながら病院へ向かった“私”は腎盂腎炎(腎臓に細菌が感染する病気)を起こしていることを告げられるが、そこから始まったのだ——凄絶な大学生活が!
というわけでこちら、著者さんの闘病と闘学の日々を綴った自伝となります。
腎臓はほとんどの格闘技が攻撃を禁じている急所です。それほど脆く、感じる苦痛も恐ろしいもの。それがずっと続く。しかもおとなしく療養していられない大学生活があるとなれば、まさに考えたくない事態ですよね。
そんな事態のただ中に囚われた著者さんは当然憤りますし、弱気になりますし、思ったり想ったりします。
そして。
話はあるとき急転するのですよ。
辛くありながらも軽い語りから一気に返されるどんでんは、まさにリアルな人間を描いたからこそのインパクトを読者へ与えます。
本作を読み進めたあなたはなにを感じるのでしょうか? 締めの代わりに問いを置かせていただきたく。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=高橋 剛)