作品解説
最後までお読みいただきありがとうございました。
本作は、「女性の裸」というテーマに対して、真正面から大真面目に取り組もうとした作品です。画家は女性にした上で、わざわざ異性愛者だとか百合要素はないと冒頭に明記しました。それでいて、それぞれの女性には自分自身の性の悩みをきっちりと語らせるようにしています。
容姿や服装・髪型などのディテールはもう少し細かくてもよかったかも知れませんが、想像の余地を残すという意味で最低限にしました。一応、省いた部分のイメージとしては真理恵さんは身長150センチ代でポニーテールの丸顔でDカップ、理香さんはボブショート、紗和子さんは身長170センチ弱でCカップくらいのイメージ。紗和子さんについてはモデルとして描かれるポーズも省略していますが、均整の取れた肉体を表現するためにきっと正面から描いたのではないかと思います。
なお、私は絵に関しては詳しくないのでそのあたりのリアリティは雑です。一応、鉛筆でデッサンしてから水彩なり油彩なりで着色して完成させるようなイメージですが、専門家や経験者の目線ではおかしな部分があるかも知れません。(本題は女性たちの内面なので)あまり重要な部分ではないとはいえ、ノイズになってしまうようなら指摘され次第書き直す所存です。
設定的な話を少々。描いた絵については、モデル自身が買い取るパターン(少なくとも真理恵さんはその予定、お嬢様設定なのだ)と、画家先生が所有する(そして多くの場合は画廊などを通じて第三者に売る)場合があります。この場合、モデルには謝礼金が支払われます。これはモデルを依頼する段階で(買い取る場合は金額も含めて)決めておくようなイメージですが、冗長になるので作品内では語りませんでした。具体的な金額についても絵画市場の相場を知らないのでぼかしています。ちなみに理香さんは買い取りはしないものの、画廊や個展に夫を連れて行く想定です(自分のヌードが公開されているところに連れて行くなんてドキドキしますね)。
他に省いたシーンとして、理香さんは仕事の関係で姿勢が歪んでいることを(裸を見慣れている)先生が見抜き、同様の姿勢の歪みが懸念される同業の旦那とともに整体院に通うことを勧めるというのがありました。真理恵さんや紗和子さんについては姿勢の良さを描写したので、対照的なシーンとして入れようとしましたが蛇足な気がしたので省略。
書いていて一番楽しかったのは最後に画家の先生が脱ぐシーンです。紗和子さんの完璧な体(実はこの部分はほぼ「AIのべりすと」が書いてくれた)というのは、先生の「だらしない(とはいえモデル志願の女性と比べた場合にそう思っているという意味で、同世代の中ではまだ見せられる体だと思う)」肉体を引き立たせる要素に過ぎません。モデルとの対比で、いかに「きれいではない(と自覚している)」体を表現するかに気を使いました。
3部作で完結ですが、モデルはこの3人だけに限らないので、シリーズとして続ける余地があります。先生の過去編とか、モデル達のその後などの番外編も考えられるでしょう。
女性画家と秘密のモデル ―貴女のヌード描きます― 矢木羽研(やきうけん) @yakiuken
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