十年越しの告白

夕日ゆうや

十年越しの告白。

 よく朝顔の観察をしていた庭の樹木の下。

 タイムカプセルが埋まっている。

 小学生のよく遊んでいた同級生のタイムカプセル。

 あれから十年。

 僕の好きな朝倉あさくらさんはどんなことを書いていたのだろう。

 自分もどんなことを書いていたのか、忘れてしまってしまった。

「おう。斉藤さいとう。どうしていた?」

 しっかりものの璃空りく

 いつも遊んでいた五人が集まる。

「よ、おひさ~」

 軽い感じの靑戸あおと

「ん。久しぶり」

 静かな夏鈴かりん

 そしてみんなのリーダー朝倉あさくらさんがやってくる。

「久しぶりだね。元気にしてた?」

「元気だよ。じゃあ、みんなでカプセルを掘り起こそうか」

 僕が薦めるとみんな集まりだす。

 掘り起こすと、箱がみえてくる。

「お。あったあった」

 十年後の君へ。

 手紙とお宝ものを入れていた。

 懐かしい。

 一喜一憂していたあの頃。

《これを読んでいる君へ。今でも朝倉さんが気になるのなら、告白してしまおう!》

 僕は困ったように頬を掻く。

「どうしたの? 斉藤くん?」

「え。いや、別に……」

「知っていた? 青葉山あおばやまの泉で告白すると願いが叶うんだって」

「え。ホント? じゃあ、一緒に――」

 そこまで言ってこれがまるで告白だと気づく。

「ふふ。一緒に……? なにかな~♪」

「な、なんでもない」

「ほんと~うに?」

「なんでもないって」

 怒ったように言うと、朝倉さんはちょっと残念そうな顔をする。

「へたれ」

「……青葉山、みんなで行こう?」

 僕は全員に話しかけると、コクコクと頷くみんな。

「へたれ~♪」

 嬉しそうに罵倒してくる朝倉さん。

 なんだよ。その嬉しそうな顔は。

 告白すると決めたわけじゃないんだからね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

十年越しの告白 夕日ゆうや @PT03wing

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ