エピローグ

 レーシアが所属していた犯罪組織。

 その構成員にはただのやべぇ犯罪者たちも当然いるが、それに加えてレーシアのように不本意的な形でその組織へと身を落とした人間もいた。

 

「わ、私は……許されざる大罪を犯してしまいました……あ、あぁ。私は、ゆ、ゆるされ……ざる、こと、をぉぉ」


「確かに、貴方は罪を犯してしまいました。しかし、たとえ世間に許されなかったとしても、神に仕え、心を入れ替えればきっと、神は許してくださるでしょう」


「こ、こんな私でも許して……」


「神の視点を人の視点と同じにしてはなりません。ただ信じる。貴方がなすべきはそこです」


「しん、じる……」


「えぇ、それが一番です……あなたに居場所はなくなりました。しかし、ここがあなたの新しい居場所です。何があろうとも。私は、神は、ここは貴方を見捨てません。貴方が神を信じてくれるその日まで、必ず支え続けますよ」


『……居場所をお主が潰しておいてそれを言うかね?』

 

 僕は自分の背後にいる空白の言葉を無視してせんの……うう゛ん、説法をどんどん解いていく……レーシアの組織にいた多くの者たちへと。

 彼らを、彼らをどんどん信者に取り込んでいくのだッ!それこそが我が道!!!うにゃーぁ! 


 ■■■■■


 燃え、尽きたよ……信者を増やしたい。

 そう思ってレーシアの組織の人間に接触したのだが、あまりにもやべぇ奴らの巣窟過ぎて僕の心が燃え尽きた。

 すべての人が帰った夜、僕は心身尽き果てて床にのそべっていた。


「輝夜ー、お仕事終わったぁ?」


「……ん」


「レーシアの金でピザを取ったから一緒に食べましょ」


「私が払いました!」


「ピッザァッ!!!」

 

 僕は玲香とレーシアの言葉を聞いて跳ね上がり、大きな声を上げる。

 

「ふんふんふーん」

 

 僕はテンション高く鼻歌を歌いながら彼女たち二人のいるリビングの方へと向かう。


「夜ご飯食べ終わったらマ〇カしよー」


「ん、良いよぉー」

 

 前途多難。

 というか、もう難しかないような僕の人生ではあるが、それでもなお僕は極限状態の最中、なんとか己の生を歩んでいた……あぁ、信者を増やして増やしまくるぞぉ!

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カルト宗教の教祖は嘆きたい~神様に脅されてカルト宗教の教祖になった高校中退生は社会不適合者を狙って教徒にしようとした結果……ヤンデレ少女ばかりになったんだが?~ リヒト @ninnjyasuraimu

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