南国で「なければならない」が故に南国である島

 とある南の島、最後の楽園に住む人々を描いたお話。

 SFショートショートのような味わいのお話です。

 タイトルや紹介文の通り、かたく信じることそのものが重要な世界。
 なればこそ必然的に発生してしまう、「異端への迫害」という閉鎖的な因習。
 このある種の思考実験のような読み味がとても好きです。

 南国であるにもかかわらずどこか寂しく、主人公の父への憧憬がそれに拍車をかける。
 なにか無理に造られた楽園の虚しさのようなものが印象深いお話でした。