まさかのトロピカル因習アイランドものミステリ

 南の離島で起こった不審死事件のために、本土から送り込まれた捜査官のお話。

 現代もののミステリ掌編です。
 それもなんと、「トロピカル因習アイランド」というミームをモチーフにしたもの。
 俗に「トンチキ」などと呼ばれる非常にネタ的な要素で、おそらく食い合わせとしては非常に難しいと思われるところ、しっかりミステリの形をしているのがもうものすごい。

 ちゃんと謎があってその解決編もある。
 それでいて、トロピカル因習アイランド成分も薄れていないのだから凄まじいです。

 5,000文字にも満たない小品であるため、謎の発生から解決まではかなりコンパクトにまとまっているのですが、そのぶん読みやすいのもまた魅力のうち。
 大変満足感のあるお話でした。