注文の多い料理店
宮沢賢治/カクヨム近代文学館
二人の
「ぜんたい、ここらの山は
「
それはだいぶの山奥でした。
それに、あんまり山が
「じつにぼくは、二千四百円の
「ぼくは二千八百円の
はじめの
「ぼくはもう
「さあ、ぼくもちょうど
「そいじゃ、これで切りあげよう。なあに戻りに、
「
ところがどうも
風がどうと
「どうも腹が空いた。さっきから
「ぼくもそうだ。もうあんまりあるきたくないな。」
「あるきたくないよ。ああ
「
二人の
その時ふとうしろを見ますと、
そして
という札がでていました。
「
「おや、こんなとこにおかしいね。しかしとにかく何か
「もちろんできるさ。
「はいろうじゃないか。ぼくはもう何か
そして
「どなたもどうかお入りください。
二人はそこで、ひどくよろこんで言いました。
「こいつはどうだ、やっぱり
「どうもそうらしい。決してご遠慮はありませんというのはその
二人は戸を
「ことに
二人は大歓迎というので、もう大よろこびです。
「君、ぼくらは大歓迎にあたっているのだ。」
「ぼくらは
ずんずん廊下を
「どうも
「これはロシア
そして二人はその
「
「なかなかはやってるんだ。こんな山の中で。」
「それあそうだ。見たまえ、東京の大きな
二人は
「注文はずいぶん多いでしょうがどうか一々こらえてください。」
「これはぜんたいどういうんだ。」ひとりの
「うん、これはきっと注文があまり多くて
「そうだろう。早くどこか
「そしてテーブルに
ところがどうもうるさいことは、また扉が一つありました。そしてそのわきに
「お
「これはどうも
「
そこで二人は、きれいに
そしたら、どうです。ブラシを
二人はびっくりして、
扉の
「
見るとすぐ
「なるほど、鉄砲を
「いや、よほど
二人は
また黒い
「どうか
「どうだ、とるか。」
「
二人は帽子とオーバーコートを
扉の
「ネクタイピン、カフスボタン、
と書いてありました。扉のすぐ横には
「ははあ、何かの
「そうだろう。してみると
「どうもそうらしい。」
「そうだ。きっと。」
二人はめがねをはずしたり、カフスボタンをとったり、みんな
すこし行きますとまた
「壺のなかのクリームを顔や手足にすっかり
みるとたしかに壺の中のものは
「クリームをぬれというのはどういうんだ。」
「これはね、外がひじょうに
二人は壺のクリームを、顔に塗って手に塗ってそれから
それから
「クリームをよく
と書いてあって、ちいさなクリームの壺がここにも
「そうそう、ほくは耳には塗らなかった。あぶなく耳にひびを切らすとこだった。ここの
「ああ、
するとすぐその前に
「
十五分とお
すぐたべられます。
早くあなたの頭に
そして戸の前には金ピカの香水の瓶が置いてありました。
二人はその香水を、頭へぱちゃぱちゃ振りかけました。
ところがその香水は、どうも
「この香水はへんに酢くさい。どうしたんだろう。」
「まちがえたんだ。
二人は
扉の
「いろいろ
なるほど
「どうもおかしいぜ。」
「ぼくもおかしいとおもう。」
「
「だからさ、
「その、ぼ、ぼくらが、……うわあ。」がたがたがたがたふるえだして、もうものが言えませんでした。
「
「いや、わざわざご
たいへん
さあさあおなかにおはいりください。」
と書いてありました。おまけにかぎ穴からはきょろきょろ二つの青い
「うわあ。」がたがたがたがた。
「うわあ。」がたがたがたがた。
ふたりは
すると戸の中では、こそこそこんなことを
「だめだよ。もう気がついたよ。
「あたりまえさ。
「どっちでもいいよ。どうせぼくらには、
「それはそうだ。けれどももしここへあいつらがはいって来なかったら、それはぼくらの
「
「へい、いらっしゃい、いらっしゃい。それともサラドはお
二人はあんまり心を
中ではふっふっとわらってまた
「いらっしゃい、いらっしゃい。そんなに泣いては
「早くいらっしゃい。
二人は
そのときうしろからいきなり、
「わん、わん、ぐわあ。」という声がして、あの
「わん。」と高く
その扉の
「にゃあお、くわあ、ごろごろ。」という声がして、それからがさがさ鳴りました。
室はけむりのように
見ると、
犬がふうとうなって
そしてうしろからは、
「
二人は
「おおい、おおい、ここだぞ、早く来い。」と叫びました。
そこで二人はやっと
そして猟師のもってきた
しかし、さっき一ぺん紙くずのようになった二人の顔だけは、東京に帰っても、お
注文の多い料理店 宮沢賢治/カクヨム近代文学館 @Kotenbu_official
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