インシュー島調査記録

@shirocorgi

第1話

 東南アジアの孤島、インシュー島。そこには古の魔獣トロピカルモンスがいるという。その伝承を確認するために某テレビ局の撮影隊向かったが行方不明となってしまう。警察が、捜査に向かうも生存者は一人として発見されなかった。そんな中、付近の島に漂着した血まみれのボイスレコーダーが発見された。以下、その内容である。


『カチッ・・・ガガ、ピーーー・・・・マイク音量大丈夫?・・・・・・よし。えーこちらインシュー島、現在午前10時頃、撮影隊記録係の吉田です。最寄りの島からボートで2時間かけてやっと到着しました。今日は、魔獣トロピカルモンスを撮影するため、ここインシュー島に来ています。では、今から情報収集のため近隣の村に行こうと思います。』


『・・・カチッ、ガガ・・・えー現在午後12時、撮影隊記録係の吉田です。いやー、自然豊かでいいところですねインシュー島、島の人たちも親切で今、お昼をご馳走していただいたところです。魚や果物がとってもおいしいです!「関係ないことを記録するな!」はいはいわかりましたよ、トロピカルモンスについてインタビューしたのですが調べたとおり、今日がトロピカルモンスにまつわる儀式が行われるそうです。早く撮影したいなぁ!』


『・・・カチッ、ガガ・・・えー現在午後2時、撮影隊記録係の吉田です、今、トロピカルモンスが住むとされる洞窟の目の前にいます。高さはぱっと見、20mぐらいで底が見えないくらい、奥行きがあります。それにしてもなんだか生臭いし、薄気味悪い場所だな・・・』


『・・・カチッ、ガガ・・・えー現在午後5時、撮影隊記録係の吉田です、ちょうど今、目の前で儀式の準備が行われています!鳥の羽とかで飾られた衣装や色とりどりの果物がとってもオシャレです!でもあの人間が数人ほど入りそうなサイズの檻はいったい、なんなんだ?』


『・・・カチッ、ガガ・・・えー現在午後6時、撮影隊記録係の吉田です、今から儀式が始まりました!ご飯はおいしいし島民は陽気で親切だし、ここは本当にいい所だよな。ん?なんだ?なんだか急に眠気が・・・』


『・・・カチッ、ガガ・・・ちくしょう!アイツら、俺たちをはめやがった!食べ物の中に眠り薬を仕込んで生贄にするつもりだったんだ!!半分が折に入れられて捕まった!!「おい、そんなことしてないで早く逃げるぞ!」』


「おい! 何か洞窟から何か出て来るぞ!?あれを見ろよ!!」


『なっ、なんだあのトカゲみたいな化け物は!?あ、あれがトロピカルモンスなのか!?おいおいおい!! こりゃあマジでやべえんじゃねえか!?』


「うわああぁぁっ!! 助けてくれえぇぇーっ!!」


「ぎゃあっ!!」


「たす……け……」『ひぃいいいぃぃっ!? 逃げろおおぉぉっ!!』


「あが……ごふっ……」


『やめ……やめて……くれ……いやだいやだいやだ死にたくない死にたくな……』


「きゃああああぁぁぁっ!!」


そこで突然、女性スタッフの悲鳴が上がった。それと同時に肉を咀嚼する音が響き渡ると、撮影隊は全滅したのか、そのままプツンと切れてしまった。



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