立て板に水の嘘八百

 南の島で生まれ育ったという、嘘の思い出を語る人のお話。

 語りかけの形式で綴られた現代ホラーです。
 堂々「嘘」と銘打たれたうえで語られる、小さな離島でのさまざまな思い出。

 なにが事実でどれが嘘なのやらわからない、虚実定かならぬ描写が印象的。
 なんだか煙に巻かれる……というか、「何か異様なものを聞かされている」という感覚が魅力的です。

 二話目三話目と、物語が思わぬ形に展開してゆくところが好き。
 何かが根本からバグっているかのような、独特の雰囲気が印象的なお話でした。