第2話「電車通学で、あなたと出会う」

もう恋愛はしない。

また、捨てられるかもしれない。

よく考えた、自分自身のいいところ、好くところを考えたけれど、

何もでてこなかった。


前の彼氏と別れてから、HYさんの366日を毎日聞いた。

朝の通学で聞いた、下校の時に聞いた、お風呂で聞いた、寝るときに聞いた。

泣いた、泣いた、泣いた。

「戻れないと知ってても 繋がっていたくて」

ほんとうに、その通りだ。

戻れないのに、繋がっていたかった。

でも、繋がっていても辛いことはわかっていた。


そんなある日、いつもと同じ時刻の電車、同じ車両に乗っていた。

同じ学校の男子生徒が乗ってきた、見たことのない顔だった。

同じ制服だけれど、ネクタイが高校生用のネクタイだった。

私の最寄りから三つ目の駅に着くと、あなたが同じ車両に乗って来た。

両耳にはイヤホンをつけて、朝から参考書を開いている。

そんなに勉強が好きなのか、私とは正反対だと思いながら、同じ駅で降りた。

でも、同じ駅で降りたはずなのに通学路の前を見てもあなたはいないのだ。

これが、何日も続いた。


いつの間にか、お互い意識しているのか、電車の中で目が合うことが増えたし、

隣に座ることはなかったけど、私の目の前に座ることが増えた。

でも、連絡先も、あなたのクラスも知らないままだった。

知っているのは、最寄りの駅と勉強ばかりでまじめなとこ、少し変わっていること。

年上という情報だけだった。


「玲香!もうすぐ文化祭だよ!」

「あっ、そうだった。」

「え、忘れてたなんてことないよね?」

「も、もちろん!」

玲香は、文化祭が近づいていることを完全に忘れていた。

ホームルーム委員長を任されているので、やるべきことが多いのに完全に忘れていたのだ。

焦って職員室に向かい、提出書類を出し、やるべきこと終わらせ、少し担任に怒られてしょんぼりしながら教室に戻るころ。

いつも電車で会う先輩が、教室からでてくるところを見た。

初めて彼のクラスを知った、特進クラスの人だった。

頭がよくて、年に何回か海外へ勉強をしに行くほど頭のいいクラスだ。

そんな人と電車で目が合って、少しドキドキしていた私もさすがに目が覚める。

「あたし何考えてんだ、絶対ない。」

そもそも、何がないのかは…言いたくないが。」

私とは接点がないと思った...


~文化祭当日~

同じ電車に乗る先輩が、私の教室に来たらどうしよ。

なんて、中高一貫だから教室が多いのに、私の役割の時間に会えるなんて、

相当確率が低いんだろうと思いながら、文化祭が始まった。


廊下ですれ違うカップル、高校の先輩たち、ライブが始まると体育館に向かう、

全校生徒たちやこっそり抜け出す青春をしている生徒

その中に、私が探していた先輩はいなかった。


結局会えないまま、先輩の教室に行く勇気なんてなまま私の文化祭が終わった。

期待していたからか、少し寂しかった。

教室は文化祭の片づけが始まっていたけれど、サボり魔の私は適当に時間をつぶしえいた。


「あっ」

そろそろ教室に戻ろうとした時だった。

科学室の扉の前で、私をみながら誰かが驚いた。

さすがの私も反応してしまった。

「あっ」

科学室を見ると、いつも一緒の電車に乗る先輩がいた。

私もつい驚いて、心臓がどきどきして、声をだしてしまった。


「いつも…八幡駅から同じ電車乗っているよね」

「…乗ってます」

「だよね…」

いつも電車で会ってはいるものの、話す日が来るなんてお互い思ってもいなかったからか、少し気まずかったけれど、

部活の話やクラスの話をして、緊張が解けて、

私は、教室には戻らず二人で体育館の倉庫へ二人で抜け出した。


最後には、連絡先を交換したり、先輩のは科学部らしく、

私の教室と隣りだったため、これから会えるかもね。

なんて話ながら、私の文化祭は終わった。


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