ほんの栞のキモチです~ 🔖
上月くるを
ほんの栞のキモチです~ 🔖
もう何年に なる かしらねえ この方のもとに 来てから
あたしのこと とても たいせつにして くださっていてね
お気に入りの 本に いつも はさんでくださっているのよ
あ かたち? 仲間たちとは すこし 変わっているかもね
椅子にすわり まんまる笑顔で 本を 開いている 男の子
その横に 一本の 大きな ひまわりの 花が 咲いていて
裏返すと 少年の頭に 水色の トンボが 止まっているの
季節的には夏限定なんだけど 一年中 愛用してくださるの
🌻
成り初め? えへへ 本屋さんの キャンペーンの 景品だったのよ
あ せいかくにいうとね 某出版社の拡材? あれだったんだけどね
いつだったっけ あたしが いないと 大騒ぎになったことがあって
車の椅子のかげに 見つけたときのよろこびようったら なかったわ
あ それから……ちょっと 悔しいけど あたし ライバルがいるの
あの方が 参加している ネット小説? そこ発行の オリジナル栞
たしか 武蔵野ミュージアム見学ツアー だっけ それに 当選して
所沢へ出かけて行ったとき お土産に いただいて来た 記念グッズ
🚉
あちらは ちゃんとした プラスチックだから 頑丈でしょう
厚みもあるから うっかりどこかへ紛れこんだりはしないのよ
持ち主も 心得ていて 使わないときは バッグに入れてるし
サービス品の あたしとは 若干 扱いが ちがうような……
でも 安心してね 最近では 自然に スミワケが できてね
あちらは 俳句の歳時記 あたしは 一般の 文庫本用に定着
💍
で さっきの話に もどるとね 人間って ある年齢になると
ほんとうに 大切なものが 限られてくる みたいなのよね~
仕事時代は クローゼットを ほぼ満杯にしていたスーツ類も
宝石の類も 遠ざけた あの方が たいせつに しているもの
それはね 家族写真 /還暦祝いに贈ってもらった指輪 /翡翠の勾玉/
犬の神さまに召されたワンちゃんの骨片/あたしたち。ヾ(@⌒ー⌒@)ノ
だから いずれ あの方が 歳を重ねられて 本が 読めなくなっても
ずっと ず~っと あの方と 一緒にいる つもりなのよ あたしたち。
ほんの栞のキモチです~ 🔖 上月くるを @kurutan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます