第6話
「……さん、野薔薇ローズさん…ローズさん!」
「ハッ!!ここは…」
「よかった気が付いたのね、青の洞窟よ!ローズさんが美しき神の三つ目の瞳を元に戻したおかげで、美しき神は正気を取り戻したのよ!めちゃくちゃ綺麗なおばさんだったわ!」
「アイコさん神様に対しておばさんって…どうですの…」
「ローズお嬢様お見事でした!!」
セバスチャンは私に抱きつき、男泣きにむせび泣いている。セバスチャン、あなた涙もろくなりましたわね…。
「ふふ。最強寒波から逃げだしたら、とんでもない、おバトルでしたわね…今は鉄火丼が食べたいですわ。鉄火場だっただけに…ですわ!」
「はっはっはっはっは…」
青の洞窟に笑い声だけが空虚に響いた。
その後、美しき神は二度と現れる事は無く、もはや恩恵も贄も必要ない、ただそこには神無き穏やかな海辺と海岸が広がるのみ。そして、リョウさんとカオルさんは結婚して島に移住を決め、牧場を経営。二人をほっとけないとダイさんは島でクラブ経営を始め、デンタさんは島で農業に専念、アイコさんは島発のアイドルになりましたわ。青の洞窟も相変わらず人気スポットで、TV局がやってきたり、おかげでぱーてぃぴーぽー達がワンサカですわ、入れ食いですわ!
暫く島にとどまりリゾートを満喫しましたわ。美しい海と緑、海の幸、美味しい野菜、夢のようでしたわ…。
「もう帰っちゃうんですね、もう少しゆっくりしていけばいいのに」
大きなおなかを抱えてカオルが寂しそうにしていますわ。
「そろそろ本州が暖かくなってきましたので、ふふ、また最強寒波がやってきたら、お邪魔しに来ますわ、その頃には二人目、ですの?」
「やだぁ~ローズさんったら!」
隣に立っていたリョウが握手を求めてきましたわ。
「俺もここの大地に根を張って、マリやイツキに恥じない人生を送りたい、じゃんじゃん人口を増やしたい!」
すかさずダイさんがリョウさんを横から小突きましたわ。
「リョウ!カオルの負担も考えろよな!!」
「う、お、おう!」
「まったく、リョウは僕らがいなくちゃダメなんだからな~」
すっかりデンタさんは農業が板についてますわ。
「頼りにしてる、デンタ!」
「あたしは~?」
「勿論アイコもな!」
「うふふ!うたっちゃうよ~!」
ひらひらとした煌びやかな衣装でくるくると回るアイコは愛らしい、良いアイドルになりますわ。
楽しそうな一同に目を細め、全長30メートルの小型船にセバスチャンとアイアンメイデンサイズのトランクケースと共に乗り込んだ。色とりどりのテープが千切れ、船は出港ですわ。
「ごきげんよう!またお会いしましょう!野薔薇ローズでしたわ!」
終。
野薔薇ローズの冒険 @minoru514
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