第5話

「さーてと、いっちょ神殺しと洒落こみますか…」

 ダイさん、あなた普通の一般人でしょ?まあいいですけど…神殺しを実行するのは私ですのよ全くもう…。

「セバスチャン、無駄だと思うけど、せめて身代わりくんを持って行くわ…出してちょうだい」

「はい。ローズお嬢様」

 身代わりくん人形を髪に結わえると、身が引き締まりますわ…。お母さまが作ってくれた残機1ですわね。


 青の洞窟に辿り着き、野薔薇家に代々伝わる戦闘服、聖漆黒8属性防御麗戦闘兎礼服ホーリーダークネスレインボーマルチディフェンスバトルバニースーツに着替えましたわ。本気って事ですわ。


「ねえねえ、なんでバニーガールの恰好してんの?」

 アイコさんが無邪気に疑問をぶつけてきましたわ。


「戦闘服ですの」


 青の洞窟は夜の中でも透明な海の水を湛え、神秘的に青白く輝いている。美しいですわ。

「観光客をおびき寄せる為にライトアップしとるんじゃ。綺麗じゃろ」

「……………、ま、まあいいですわ、美しかった神はどこですの?」

「この下じゃよ…」

「こんな明るい所で寝てるとは無神経な神ですわ、…行きますわ!」


「破ァーーー!!」


水面の中に飛び込み、底へ底へと潜ると、そこには巨大な白い海蛇がとぐろを巻いてお眠り中ですわ。水中でどれほどの力が出せるのか…ええいままよですわ。


「○o。. 野 薔 薇 ロ ー ズ ! ま い り ま す ! !○o。. 」


 青の洞窟の水面が盛り上がり、巨大な白い海蛇が怒り狂い猛りながら二つの目を真っ赤に燃えがらせ、水柱と共に水上へ白い鱗を輝かせ胴体が虹のようにアーチを描いてまろび出ましたわ!やはり弱点らしき弱点もございませんの。三つ目の瞳は閉じたままですし。このまま技を繰り出すしかありませんわ!


「うぉぉおおおおおお!!!野薔薇流バトルアックス術!五の名「宇宙猫眼力」!!」

 空気を切り裂くにゃーん!という音と共に一撃必殺の大ダメージを与える技ですの!

 くっ!!全く効いてませんわ…!!このままでは…!!!

「はぁあああああああ!!!野薔薇流バトルアックス術!六の名「椿姫6拍子舞」!!」

 椿の花が空いっぱいに広がり花弁を切り裂き、6等分に引き裂く技ですわ!


「無駄じゃ…人間に神は勝てんのじゃ…」

 そこへ、夜の闇の中、走って来たのか体中ボロボロになり、肩で息をしているカオルさんが手に何かを持って、洞窟の入り口に走りこんできましたわ。

「それでも!!!抗うのが人間でしょ!!」

「か、カオル!どうしてここへ?!リョウは?!」

「置いてきた!!これを預かってきたのよ…!」

 カオルが手に持って居るものを見て、老人は目を見開き驚愕しましたわ。もしや、あれは…!

「な?!そ、それは三つ目の瞳?!一体どこに?!」

「リョウが、滑った場所に、お地蔵様が頭と体の真っ二つに割れて落ちてたのよ、その中にこれがあったの!!マリさんからの伝言よ!これを返してあげて!ローズさん!!」

えいっ!とばかりに青の洞窟にカオリが投げたそれを、確かに三回転ひねりで受け取りましたわ。

「ありがとう!カオルさん!!」

 三つ目の瞳を口に放り込み、両手を自由にしてバトルアックスを力いっぱい握りますわ!

「破ァあああああ!!野薔薇流バトルアックス術!七の名「時す間た停ん止」!!」

 白い海蛇の脳天を叩き、1カメ!2カメ!3カメ!と、ピックアップされ、周囲が白黒に反転する、この技を受けた者は7秒動けなくなる。たった7秒とはいえ、相手の行動を完全に止めるこの技は最強ですわ!!

「いまですわ!!」

 海中で白い海蛇の頭にある閉じた第三の瞼をこじ開け、三つ目の瞳を押し込みましたわ!やりましたわ!!ごぼごぼごぼぼぼ……

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