お祭りだとはいうけれど

 南の島に旅行に出かけた大学生二名が、島の住人たちからものすごい歓待を受けるお話。

 離島を舞台にした現代もののホラー掌編です。
 照りつける太陽に南国らしい陽気、それに祭りの様子など、詳細で丁寧な描写が魅力の物語。

 島のあちこちで熱烈な歓待を受けるものの、しかしそれにしてもなんだか大仰すぎるような……という、この不気味な違和感がとても印象深いです。

 漠とした、でも拭いきれない嫌な予感。
 何かはっきりした根拠があるわけでもなく、それどころか島民はずっと陽気そのもの、なのに……という、この「なのに」のギャップがもたらす独特の怖さ。

 その漠とした恐怖が身を結ぶ、終盤お展開についてはもういうまでもなく。
 短いながらもピリッと怖いお話でした。