怪異譚を読み進む程に「あれ」が近づいてくる。

近畿地方のとある山に現れる怪異。調査を続ける内に行方不明となった編集者が残した取材記事や資料を読み進める物語構成となっている。
怪異譚でよく見られる手法ではあるが、物語と現実との境界を曖昧にしており、関わるだけで障りのある怪異について、読み進む行為がそのまま怪異との距離を縮めていくように感じられるリアリティは、作者の高い技量を感じさせる。
「あれ」との縁を結び、現実をぐちゃぐちゃに混ぜ込みたい人にお勧めです。