「愛とは?」と自問する時――そのたびに、私はこの物語を読み返すのです。

 何と書けば良いのでしょう、「面白かった」「泣けた」、そんな言葉だけでは収まらず、なかなかレビューを書けなかった不甲斐なさとお恥ずかしさ、まずは陳謝いたします。
 涙と鼻水を拭きつつ言葉を探す時間は、さながら〝愛とは〟何かを探す時間に似ていました。
 けれど、答えはこの作品、『アイトハ』にあります。きっと、多くの方が、この作品を通して考え、自分なりの〝アイトハ〟という答えを見つけられるはず。

 人の想いや感情は不定形で、だからこそ〝愛とは〟何だろうと、本当にそんなものはあるのだろうかと、思い悩むこともあるかもしれません。
 けれど、きっとそれは、あるのだろうと信じられます。

 たとえ、死がふたりを分かつとしても。
 愛した想いは、本物なのだから。

 作中に出てくる手紙に、真実の愛を感じて。
 自分の中で〝アイトハ〟と自問するたびに、私は何度でも、この物語を読み返しに来るのです。

 約7300字、一話完結の作品、是非ともご一読いただきたいと願います。

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