【3人用台本】無能探偵は儲からない
しんえん君
無能探偵は儲からない(2:1:0)
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アドリブ、細部の改変、性別の変更などは可能です。
【本作の読み方】
・「」外は状況の説明ですので読まなくて結構です。演技のプランニングやSE等の参考にお使い下さい。
【登場人物】
探偵。探偵事務所の大家である、金地かねじにお金を借りている。仕事が欲しい。甘党。
不動産賃貸業を生業としている。
依頼人。最近友達の家から物が消える。
カタツムリを飼い始めた。
【役】計3人
・布目 男性:
・金地 男性:
・外丸 女性:
【本文】
雑居ビルの二階、日当たりの悪い一室にある布目探偵事務所ぬのめたんていじむしょ。
布目、定位置である事務机の前の椅子に座っている。
金地、机越しに布目に話している。
金地「
布目「分かってますよ。と言うか、今渡したじゃないですか。」
金地「一ヶ月分だけね。」
布目「申し訳ないです。でも、僕もお金を作るために食事を減らしたり、頑張ってるんですよ。」
金地「そうなの?栄養失調で倒れたりしないでよ?」
布目「そこまで考え無しに減らしませんよ。けど、いつもの調子が出ないです。」
金地「えぇ、大丈夫?」
布目「毎食後の“トローリ濃厚卵プリン ほろ苦カラメル付”を我慢して、三つで百円のプッチンできるプリンにしたんです。生活にハリが無いですよ。」
金地「それは、もう少し頑張れないかな。」
布目「これ以上ですか?金地さん、鬼ですね。」
金地「いや、俺、個人的にも君にお金貸してるよね?せめて、ちゃんと働いてよ。」
布目「働いてますよ。こうして今日も事務所開けてるじゃないですか。」
金地「誰も来てないじゃないか。」
布目「なんででしょうね。」
金地「能力がないからじゃない?」
布目「そんなこと言わないでくださいよ。」
金地「事務所畳んで地元帰ったらどう?」
布目「なんでそんな酷いこと言うんですか。一生懸命やってるのに。」
金地「あー、わかったわかった。」
布目「依頼さえあればちゃんとお金返せますから、もうちょっと待ってくださいよ。」
金地「じゃあ俺の知り合い紹介するから。ちゃんと依頼解決して、家賃払ってね。」
布目「知り合い?」
金地「そう、俺が管理してるアパートの住人の人。なんか困ってそうだったから。」
布目「わかりました。頑張ります。お任せください。」
金地と布目、アパートの一室の玄関の前にやってくる。
金地、呼び鈴を鳴らして声をかける。
金地「
布目「
金地「君も
外丸「開いてますー。」
金地「え、あぁ、本当だ。」
金地、扉を開けて中に入る。
布目「
布目、金地に続いて入る。
金地「外丸さん、玄関の鍵ちゃんと閉めてくださいっていつも言ってるじゃないですか。」
外丸「1号その調子。ちょっと強引な方がモテるわよー。」
金地「あの、外丸さん?」
外丸「あー2号。ほら、1号が今そっちに行くから動いちゃだめだよ。」
布目「何してるんですかね?」
金地「聞いてみてよ。」
布目「え。僕が?」
金地「そうだよ。探偵でしょ?聞き込みは基本でしょう。」
外丸「もう、全然気が合わないんだから。1号も2号も協調性ってものが無いの?」
布目「あ、あの。外丸さん?」
外丸「そんなんだから、晴れの日に干からびちゃうのよ?」
布目「外丸さん、何してらっしゃるんですか?」
外丸「カタツムリを拾ってきたのよ。だけどこの子達仲が悪くて。」
布目「カタツムリどうしって仲良くなることあるんですか?」
金地「さぁ、でも明らかに違う種類だよね?この子達。」
外丸「え、じゃあ一緒に飼ってても増えないの?」
金地「増えないと思うよ。」
外丸「えー、じゃあ元の場所に返してこようかな。いっぱい増えてもらって、アヒージョにして食べようかと思ったのに。」
布目「え、カタツムリを食べる?」
金地「ま、まぁ、エスカルゴ的な?だけど寄生虫とか居るだろうし。もし増えても、辞めたほうがいいんじゃないかな。」
布目「そういう問題ですか?」
外丸「平気よ、いつも食べてる貝だって、元は野生なんだから。加熱しちゃえばこっちのもんよ。」
金地「そういう言い方されると貝を食べる気が失せるな。」
布目「僕もうサザエの
外丸「ん?うわぁ!誰?」
布目「い、今更?」
金地「外丸さん、さっき電話したでしょう。金地です。」
外丸「あー。そういえばそうね。
布目「
外丸「へぇ。うーん。私何か困ってたかしら?」
布目「え?」
金地「ほら、友達の家からものが無くなるって。」
外丸「ああ、そうそう。そうなのよ。私、お友達が多くて。」
布目「そうは見えないですけどね。」
金地「やめなよ。」
外丸「最近よくお友達のお家に遊びに行っていて、その度にちょっと困ることが起きていて。」
布目「困ること、と言いますと?」
外丸「私が帰った後に気がついたみたいなんだけど、仕舞っておいたはずのお金や通帳が無いって。」
布目「泥棒が入ったんですかね?」
外丸「でも私とお友達はお家にいたし、その事を教えてくれた電話も、その日の夕方別れて、すぐかかってきたのよ?」
金地「おかしいね。外丸さんとお友達がお話に夢中になってる最中の犯行とか?」
外丸「そういう事が立て続けに起きてるのよ。」
布目「立て続けに?」
外丸「五回くらいかしら。」
布目「偶然とは思えないですね。」
外丸「しかもペットの命まで。」
金地「え、まさか。」
外丸「友達が飼っていたチョウザメが盗まれたのよ。」
金地「チョウザメ?あの、キャビアの親の?」
外丸「そう。今頃、
金地「ん?刺し身?家の冷蔵庫で?し、塩漬け?美味しく頂かれてるんだ。」
布目「それは酷いですね。そうだ、部屋が荒らされた
外丸「いいえ、的確に貴重品だけを盗っていったみたい。まるでその家の構造を
布目「なる程、では、
外丸「だって、五件連続よ?不気味じゃない。」
布目「五件連続だからこそ、相談したほうがいいのでは?」
外丸「一軒目は青森、二軒目はフランス、三軒目は千葉、四軒目は鹿児島、五軒目はイタリア。彼女達の共通点も、何も無いのよ。」
金地「ヨーロッパに、二人も友達がいるなんてグローバルだね。今そこ、問題じゃないけど。」
外丸「なのに私の行く先々で同じような事件が起きる。怖いのよ。」
金地「怖いですね、お友達の共通点が外丸さんだけですから。俺はもう外丸さんが怖いです。」
布目「金地さん、失礼ですよ。」
金地「すみませんでした。いや、君もさっき大分失礼だったけども。」
外丸「彼女達は揃いも揃ってお金持ちよ。防犯カメラの設置は勿論、玄関はオートロックだし、セキュリティは万全。浴室はガラス張りだしね。」
金地「お風呂の情報は要るんでしょうかね。」
布目「犯人は相当自信があったんでしょうね。」
外丸「それか、危険をおかしてでも犯行に及ぶのに十分な成果があると確信していたか。」
布目「彼女達が裕福であると知っていた人物の犯行であると。」
金地「外丸さんはそれ言っちゃって、大丈夫なんでしょうか。駄目そうな立場にいると思いますよ、俺は。」
布目「わかりました、捜査してみます。」
金地「外丸さんの家の冷蔵庫から調べたほうがいいと思いますよ?キャビアを漬けてるかどうか確かめないと。」
外丸「そ、それは駄目よ。人の家の冷蔵庫を開けるだなんて、
金地「通ってますよ、赤い血が。ほら、怪しいよ。布目君。」
布目「金地さんがですか?」
金地「いや、外丸さんが。」
布目「いや、怪しいのは僕か。僕程の頭脳があればセキュリティを突破するくらい楽勝だしな。」
金地「無理だと思うよ、その察しの悪さじゃ。」
外丸「とにかく、早く犯人を捕まえてくださいね。」
布目「わかりました。自首してきます。」
金地「嘘でしょ?」
布目「あ、金地さんが自首するべきか。」
外丸「まぁ、やっぱり金地さんが犯人だったのね。お金は私が使っておきますから、ちゃんと
金地「おかしいおかしい。ちょっと、布目君。君、探偵でしょ?解決してよ。」
布目「金地さんが捕まったらお金返さなくていいかなぁ。」
外丸「えーと布目さんだったかしら?金地さんが有罪になったらあなたにも謝礼としてお金を分けてあげるわね。」
布目「やったー。」
金地「助けて!?この際もう、1号でもいいから。2号でもいいよ。とにかく誰かやめさせて。いや、何にもしてないから有罪になる
外丸「よーし、張り切って嘘の証拠を作るわよ。」
金地「外丸さんそんな怖い人でした?と言うか、そんなに俺のこと嫌い?君達めちゃくちゃなことしてるのわかってる?」
布目「まあ、死刑にはならないと思いますよ。」
金地「ならないよ。有罪にもなってたまるか。あ、布目くん、ちょっと力強いね君?待って、あーー」
布目、金地を連れて部屋を出る。
外丸「いってらっしゃーい。
ふぅ。さて、布目さんの口封じはどうしようかな。」
(了)
【3人用台本】無能探偵は儲からない しんえん君 @shinokunn
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