鬱屈した寒い冬、雪解けと共に咲く春の花

ありすさんの緻密な描写が光る、切なく苦しく厳しい冬。
貧しい男の子と、花売りの女の子が抱えるそれぞれの事情が垣間見える、寒々しい厳しい世界。

物語に救いと癒しを与えてくれた頼もしいロバのアンソニーすらも、悲しい結果になってしまったことは察しがつきます。それでも、女の子が告げる言葉が、やわらかい春の息吹を伝えてくれました。

「ねえ、春を探しにいこう」

長い長い冬が終わり、春がやってくる。どんなに厳しくても、どんなに辛くても、終わりがあれば始まりもある。そんな気持ちになりました。素敵なお話を読ませてくださり、本当にありがとうございます。

その他のおすすめレビュー

ジャック(JTW)さんの他のおすすめレビュー685