【青春三角雨模様 ~恋句二十景~】(2024年「第2回短歌・俳句コンテスト」俳句二十句の部)

【青春三角雨模様 ~恋句二十景~】

https://kakuyomu.jp/works/16818093078290063675/episodes/16818093078664968516


 その下地したじとなっている設定せっていです。



 幼馴染おさななじみ先輩せんぱいこいしている彼女かのじょ

 あわおもいをおさないころよりいだいていたが、高校入学こうこうにゅうがくおもって告白こくはく

 ところが先輩は「いもうとにしか見えない」とこまったかおで。


 失恋しつれん場面ばめん、さらにはしる彼女を見てしまった、クラスメートのかれ(告白相手あいてである「先輩」は、彼が所属しょぞくする陸上部りくじょうぶの先輩でもある)。


 その日から彼は彼女のことが気になる。


 うれがおを見ては気を引こうとしたり。


 梅雨つゆの終わり。

 ようやく彼女も初恋はつこいを過去のものと仕舞しまおうとする。

 先輩はあこがれの人だったのだと。あこがれと恋を勘違かんちがいしていたのだと……。


 それでもまだ先輩を追って見詰みつめるグラウンド。

 そのとなりには、クラスメートの彼。

 ひたむきで。


 教室きょうしつで見せるかおとは違う顔。


 彼女も徐々じょじょに、彼のことが気になりだす。


 夏休なつやすみ。


 クラスメートにさそわれ、みんなで海へ。

 気になる彼も来ていた。


 紺碧こんぺきうみのようなあお水着みずぎを、れながらも「似合にあうね」と彼は。

 彼女はドギマギしつつ、彼のたくましい体と、白いシャツがまぶしくうつる。


 そんな二人ふたりをじれったく見ている友達ともだちたち。


 画策かくさくして、 荷物番にもつばんと二人をりに。


 突然とつぜんの雨。

 かみなりおびえる彼女。

 はげます彼は、つい告白の言葉を……。


 戸惑とまどい。


 彼女は返事へんじが出来ない。


 ぎこちないまま、わかれて。


 その後は連絡れんらくも取り合わず。


 夏祭なつまつり。

 彼女は友達と。

 彼は……。


 ええい、いつまでもぐじぐじと!


 女友達に叱咤しったされ、片恋かたこいとあきらめかけていたけれど、ついに夏祭りへとはしる。


 祭りの終わり頃、雨が。


 かさは彼の一つだけ。

 し出された傘よりも、彼のその手に彼女は手をかさねる。

 いつかの帰り道では、傘と傘、その距離きょりはなれていたけれど。


 これからよろしくね。 

 約束やくそく

 来年らいねん一緒いっしょにおまつりへ。


変形へんけい三角関係さんかくかんけい恋物語こいものがたり


 恋句こいく二十であらわしてみましたが、しっかりした物語にするよりもその方がよかったでしょうといまでは。


 彼女目線が主。

 一段いちだん字下じさげてしている句は彼の目線です。

 恋愛漫画れんあいまんがだと、一人称いちにちんしょうでもちらちらと彼のしぐさが表現ひょうげんされて、それがじれったさ、もどかしさを演出れんしゅつする。それをねらってみましたけど、出来ていたでしょうか?


 恋句。

 こいを表現するのは短歌たんかでしょうが、俳句はいくでもあるのですね。


 青春せいしゅんの恋物語を雨でいろどってみました。


語句ごく季語等きごとう)の解説かいせつは「ことひな」で


【言の葉のささやき ~ひなの目覚め~】

https://kakuyomu.jp/works/16817330650661971144


 個別こべつに抜き出してやろうと思います。


公開後こうかいごみなさんのお声から


夏暁なつあけあめいとわずける同級生あなた


 設定的せっていてきには、


「夏の朝練あされん陸上部りくじょうぶ)で雨が降ってきたけれど、夏の大会も近いからそれでも走る」


 と、そんな感じをつたえたかったのですが、つたわり切らなかったようです。


なつ朝練あされんあめいとわず同級生あなた


 と、こうしてもいいかな、えようかなと思いました。


 でも。


「夏の明け方に雨もかまわず走る姿を見てしまった」


 それだけでも十分アオハルな胸ドキになると、皆さんのコメントで思い直しました。設定が見えようが見えまいが、作者さくしゃ意図いととは違っても、そのままのほうがいいと感じて差し替えしませんでした。


 公開後にも修正しゅうせいかさねていますが、皆さんあってこそ洗練せんれんされていく。そこは通常つうじょうの「俳句はいく短歌たんかコンテスト」とはちがうなあとしみじみ感じています。普通ふつうなら、出してしまえばもう修正しゅうせいゆるされないですから。そこはweb投稿とうこうならではですね。

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