かなわぬ恋の恨みから

画師が非情であり、極悪であるのか。
はたして本作は、美を求めるものの苛烈さを描いたものであるのか。
何年ぶりだろうか、まともに読みかえし、驚いた。
それは明らかに表層的なものだと気がつき。
画師よりも、身勝手で酷薄で度し難い者が、それとなくかたられてある。語り手の立場、その語り口により、それは暗示されている。
暗示ではあるが、如実に。
語りの妙。もしくは卓越したレトリック。

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