命がけのマツケンサンバⅡ

 飛行機が不時着水し、漂着した未開の離島での、世にも不思議なサバイバルのお話。

 少し不思議な要素が楽しい現代もののコメディホラーです。
 設定的にはきっとホラーのはず。神々の怒りに触れた故の祟りが出てくるので。
 思いのほかサバイバル成分が強いというか、島民と戦って島を制圧してしまう展開が好きです。

 ……と、こう書くと大変不穏なお話のようですけど、でも物語のノリは非常にコミカルそのもの。
 急に登場するマツケンサンバⅡに戸惑っていたはずが、でも読み進めるうちにだんだん馴染んでくる、この独特の読書感覚そのものがホラーかもしれません。

 クライマックスなんかもうものすごい迫力でした。
 主人公の主観にがっつり食い込んだ描写で綴られる、命懸けのマツケンサンバⅡ。
 完全にふざけているとしか言いようがないはずなのに、どうしてこんなにワクワクハラハラするの!?

 混沌とした設定のはずなのに、読んでいるうちに慣れちゃう感覚が楽しいお話でした。
 最後の大オチ大好き。