生まれつき背負わされた宿命と、太陽の下に芽生えた信頼と

 観光地化した南国の離島で、洞窟の奥に潜む危険な〝神様〟に挑む、ふたりの男のお話。

 読み応え抜群の現代ファンタジーです。
 とてもコミカルな調子で始まるものだから、てっきりコメディなのかと思って読んでいたら……!
 いつの間にかすっかりシリアスというか、どんどん加速するアツく堅実な展開。

 とても歯ごたえのあるバディものの物語でした。
 もう本当によかった……こういうの好き……。

 例えば主人公の抱えた宿命や、目下の課題たる〝神様〟の存在など。これらの丁寧に組まれた設定面が心地よいのは言うまでもなく。
 特筆すべきはそれらが物語の主題にがっつり食い込んでいるところ。
 テーマと言える部分をかなり骨太に語ってくれて、しかも主人公の行動でそれを示す物語、というのは、もうそれだけで他の何にも代え難い心地よさがあります。

 なにより好きなのはやっぱり修とズィジー、主人公ふたりの関係性。
 もっと言うなら、彼らの間に信頼や友情が出来上がっていくのがわかるところ。

 読み応え抜群のエンタメ大作でした。面白かったです!