三つ子の魂なんとやら

 民俗学を専攻する学生が、調査のために離島を訪れるお話。

 離島の因習をモチーフにした現代ものの掌編です。
 序盤から中盤の多くを占める、「因習周圏論」についての説明がとても興味深いお話。

 正しくは「方言周圏論」で、「因習周圏論」の方はそれをベースにした創作としてのアレンジのようなのですけれど、まずその方言周圏論を本作のおかげで初めて知りました。
 こういうものがあるんですね……勉強になる……。

 島の名前がなんとも意外というか、漢字の読みがちょっと予想外で笑えてしまうなど、コメディ的な要素も楽しいお話。
 加えて、単にコミカルなだけでは終わらないところも魅力の作品でした。