耳に残って離れない不気味な音

 奇妙な風習の残る島に漂着した経験を持つ老人と、その話を聞くライターのお話。

 離島を舞台にしたホラー掌編です。
 説得力というか納得感というか、最後まで読み終えたときの心地よさがたまらないお話。

 どう紹介しても少なからずネタバレになってしまうので、まだ未読の方はぜひとも先に本編を!



〈 以下ネタバレ注意! 〉

 全容が明らかにされたときの、思わず膝を打ちたくなる感じがとにかく魅力的。

 単純に「てむす」の正体もそうなのですけれど、それが老人に理解できなかった理由がなお面白く、さらに言えば「島」に関しての事実がもう本当にすごい。

 この意外な真実が魅力のお話……には違いないのですけれど、それはそれとしてしっかりホラーなところも好きです。

 具体的には結びの場面。
 切り取られた一瞬の間が、確かにホラーしているこの感じ。

 大変綿密に練られた、丁寧な作りが気持ちいい作品でした。