第32話
学院所有の少し離れたところに位置するレベルの低いダンジョン。レベルは全体的には低いが階層はそれなりに多く使い勝手の良いダンジョンである。
今回のダンジョン実習は命の危険が少ない上層のみであり、Aクラスの生徒であれば、大事が起こることもないだろうというのが教師全員の考えだ。そう、何もイレギュラーが起きなければ。
「今からダンジョン実習です。今回は一グループを除いて下層のみとなっています。私も着いていきますが気をつけていきましょう!」
担任がその後注意事項などを述べている。
有力貴族もクラスに多いからか、護衛として冒険者を雇っている。男二人、女二人か。それなりに実力もありそうだ。まぁ、失敗しても何かがある訳じゃない。気楽にいくか。
ちなみに、担任が言っていた一グループといのが、俺とレイカと適当なモブ共のグループだ。レイカとノアを離すために教師に考案した。このレベルなら中層が適切だろうと。
「それでは、グループごとに探索を開始してください!」
◆
side.ノア
ついに来てしまった。ダンジョン演習。僕は以来で何回かダンジョンやもっと危険な地帯に赴いたこともある。今回はレイカさんと同じという訳ではないが、緊張するようなことでもないだろう。
それにこのクラスのみんなは優秀で僕なんかよりも強い。
僕のグループはアイシャさん、アリスさん、ヘイミーさん、となんだか仕組まれたかのような組み合わせだ。アイシャさんとアルスが基本的に決めたらしいから仕組まれてはいるんだろうけど。
半年間みんな共にしてきて、みんなのある程度の能力は把握し、自分なりに数値化してみた。こういうのは失礼かもしれないけれど、魔眼の影響かついやってしまう。
アイシャ・フォン・ゼルナー
HP:B71
MP:B75
ATK:A83
DEF:A80
DEX:A81
TOTAL:B78
魔法適正:火
下級魔法習得・高位対魔力
アリス・フォン・アヴェーヌ
HP:D55
MP:S94
ATK:A87
DEF:C62
DEX:D53
TOTAL:B70
魔法適正:火・水・光
下級、中級魔法習得
ヘイミー
HP:D52
MP:E48
ATK:D53
DEF:E40
DEX:C63
TOTAL:D51
魔法適正:土・(無)
下級魔法習得
といったような感じだ。アルスに関しては、魔力がないから正確には測れないんだけど、全部、魔力以外は80以上はありそうかなって思っている。
つまり、何事もなく終わるだろう。班は違うが、レイカさんもいるし大丈夫かな。
「ノア!、グループは、危なくなったら絶対に助けにいきますからね!」
「大丈夫だと思うよ。みんな強いし。」
「そうよ、ノアは、わたしが守るから、大丈夫よ。それにレイカは中層だから会わないでしょ!」
そう言って、アリスが僕の腕に抱きついてくる。恥ずかしい…
その光景を見て、レイカさんとヘイミーさんは引き離そうとし、アイシャさんは楽しそうに眺めて、アルスが遠くからウキウキした目でこちらを見ている。
(助けてよ…)
ちなみに、アルスの足には泣きながらリリアが抱きついている。恐らく、班が違うからかな。
◆
side.アルス
ダンジョン内部・中層
ダンジョンを踏破する勢いで、レイカが敵を切り刻み、消し去っている。正直、全員引いている。
「レイカさん、もう少しペースを落としませんか?」
こんなボコスカやって、すぐに上に戻られるようじゃ、面白くないからな。
「なぜ!ですか!はやく戻らないと!私のノアが取られちゃいます!」
きしょっ。
「まぁまぁ、大丈夫だと思いますよ。多分…」
「ふぅ…、すみません。」
そろそろだな。
何人の心が折れるか、何人の人間が死ぬのか。大した結果が得られなくても、仕方ない。次に活かせばいいだけだ。
と、俺が「頼むぞ」と思った時、
レイカがものすごいスピードで跳び上がり、俺がなにか言う前に、天井に穴を開けて、上の階に向かって飛んでいく。
「は?」
これも察知するのか…
勘が鋭いのか、能力なのか、さすがだな。
まぁ、
想定内。
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ガチ、書く暇無い。
悪役になって主人公共を潰す コウ @KakuymWriteRead
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