第24話 状況打破

 


 ソラが走っていくのに付いて行くとソフィーさんがかがんでいた。


「ソフィーさん! 大丈夫ですか?」


「えぇ、麻痺毒と気づくのが遅くて、少し吸ってしまったから体が自由に動かないんですが気絶するほどではないので大丈夫です、グレイは武具に状態異常耐性がついているので戦闘中だと思います。僅かではありますが戦っている音が聞こえたので。」


 遠く感じるけど、微かに金属が当たるようなキンッという音は聞こえてくる。


「ソフィーさん、ソラの近くにいれば霧を払えているので風の魔法でこの霧を飛ばせませんか?」


 ソラの力のおかげで麻痺毒が徐々に治っていっているのか、ソフィーさんが杖を使いながら立ち上がって、頷いた。


「"風よ、風よ、その優しき風で、周りの厄を払い除け給え!"ウィンドアウェイ!」


 周りから風が渦巻くように流れ、霧が上に霧散していき視界と音がはっきりした。


 遠くだと感じていたが、グレイさんとシャドウウルフがすぐ近くで戦闘していた。


「霧が晴れた…! ソフィーか、助かったぜ! 抑えるので精一杯だったからこれで反撃できるぜ!」


 グレイさんが防戦一方から打って変わって攻戦一辺倒になった! 少しだけどさっきみたいな俊敏しゅんびんな動きもあまりしなくなってる…?もしかして霧を出すのは結構魔力を消費するものだったのかな?


 シャドウウルフの攻撃も影から棘を出してくる以外は何もしてこないし、疲弊ひへいしているのが見てわかる。


「ソフィー! 下級魔法で援護してくれ! 相手が弱っている間に倒すぞ!」


 ソフィーさんが下級魔法をドンドン撃って、避けられる所を先読みしてグレイさんが攻撃を当てていっているが、ソラが服の裾を引っ張ってきて、悲しそうな顔で話しかけてきた。


「あの子、何かに操られて戦わされてるみたい…抵抗してるけど力がすごい使われて体が持たないって。」


 ウルフ同士通じるものでもあるんだろうか…でもそれならなんとかしてあげたい…ソラがそんな悲しい顔をしてほしくもないし…


「あ、あの! グレイさん、ソフィーさん! その子を捕縛できませんか! 操られてるそうでどうにかしてあげたいんです!」


「操られてるっつっても…俺は攻撃しかできねぇからなぁ…ソフィー、なんとかできる魔法無いか?」


 ソフィーさんが、そんな事言われても…って感じの顔をしているが、許してほしい…ソラが悲しいと思うことをしてほしくないんです…


「とりあえず無力化をさせたいようですし、攻撃魔法で捕縛して眠らせましょう。"大地の恵みよ、我が願いに応じ、敵を縛りつけよ!"グラスバインド!」


 地面からツルが生えてきてシャドウウルフの体に巻き付いた。


「グレイ! この眠り薬をシャドウウルフの顔にかけてください!」


 グレイさんが、眠り薬を受け取り顔にかけると、暴れるのをやめて眠りについていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

長閑な暮らしがしたいだけなのにっ! @MaShiRonTea

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ