おわり

 話し終えた奈々美は、私の薄寒さに悪くした顔色を見て、意地悪そうな表情を浮かべた。



「オカルトとは違った怖さも混ざってるよね」



 全く、その通りである。



「その子からは許可取ってるから、遠慮なく使っちゃって! 」



 そう言う彼女と、その友人に有り難く思うと同時に。


 そう言えば、と考えた。




 件の奈々美の友達というのは、奈々美の話によく登場するが、私は一度もその奈々美の友達には会ったことがないということだ。



 ……邪推のしすぎだと、思いたい。



 考えを隅に追いやりながら、私はテーブルの上に一杯だけ置かれたお冷に手をつけた。

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「あの、料理はまだですか?」 一 眠処 @cat-2n0mae_7

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