またまた厄の匂い

俺とさっきの女の両社が定位置につく。

位置についてのを確認した後俺が試合形式の確認をする。


「ルールは一本勝負、何でもありの寸止め形式で行い初期位置は両者間隔4m、でいいよな?」

「…ああ、問題ない。」

「ならば開始は5秒後」


最後に開始時刻を伝えると相手の顔が真剣そのものとなる。

それを見た俺は足を半歩開き何時でも動ける体制を取った。


1回、2回と深呼吸をしてから相手を見る。

腰を低く保ちながら何時でも抜けるよう手は刀の柄に手を添えている。

その状態を維持していながらも重心は全くと言っていいほど動いていない。

確かにこれは天才と言われるのも納得できる、のだがこの子はいかんせん素直すぎる。


そろそろ5秒が経過する。

本来ならば対人戦は緊張するものなのだが俺はわざわざ対人戦というだけで緊張したりはしない。

なんせ慣れてしまっているからな。


そう心の中で自虐した瞬間に試合が始まる。


「はっ!」

相手はこちらの予想通り初手から突っ込んできた。

速さは十分だったが予想通りの行動だったため容易に対処できる。

予想通りでなくとも防がれると言うのは分かっていたみたいで直ぐ女は次の行動、突きに出る。

この動きも予想できていたしその二手だけで詰めさせるには余程の実力差がなきゃ到底無理だ。


プロなら誰でも分かる話だが相手は子供、実戦を経験して無い奴らにはこの二手で詰んでいたかもしれない。

自分で言うがプロ相手にはこの二手だけでは足りない。


そして突きの対処法は単純明快で後ろに下がるだけ。

この行動に相手は一歩前に出て横振りをする。

確かにその選択は今の状況において二番目に良い選択だ。

この状況で無理に突きを持続させても横に回避されたら体制を戻すのに時間がかかって終了。

縦振りも同様だ。


だが横振りの場合後ろに一歩下がっても避けれない、横に回避しても避け切れないだろう。

だが…


「なっ!?」

単純動作、弾くだけで隙だらけとなる。

俺は相手の横振りを抜刀で弾き、燕返しをする。


剣を首に当たるか当たらないかすれすれの位置で止めて相手に勝利宣言をする。

「俺の勝ちだな」


勝利宣言をして納剣したその瞬間身体が水に沈んかのような錯覚に陥り女の声が遠のいていく。


そのせいであの女が何か言っているが所々しか聞こえない、よろけた足取りで木に近ずき寄りかかる。


しかしこのまま意識を手放したら何か言っている女が少しかわいそうだな。

仕方ない、そう思い口を開く。


「お前には嘘が足りない。

(まぁ技術も足りないんだがそこを言ったら切りがないし俺はどうなるんだとなるからだまっておくとして)家に帰ったらお前の父に稽古を頼むと良い。

勿論本気を出してもらってな。

もしダメだった場合は『武の道に終わりは無い、だが有限である。』と言え。

武に携わった事がある奴なら殆どの確率で練習に参加させることが出来る殺し文句だ」


言葉を言い終え、あの女が去ったのを確認した後、またもや視界が真っ暗になり気が付けばまたTVの様なものだけが置いてある部屋にいた。


またか、と思い光っている側面を見ると…。


やはりというべきかウルスラグナがそこに居た。


そして酷く歪んだ表情で喚き散らかしていた。

『あのクソ女!次会った時は覚えてろぉ?体の隅々までいたぶってから殺してやるよ!くっはははは!』

そう宣言していた。


「はぁ、マジかよまたかよ・・・」

その宣言に止音は頭を抱えながら疲れたような声で呟いたのだった。

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あとがき


ネタが思いつかない定期

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表はクズでも裏は良き?〜悪徳貴族のやらかし〜 Pgu @Pgu

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