花咲きハンナ

理想郷美煉

第1話 孔雀草

清らかな風が吹くシュルエヤーの谷で、少女が一人風に揺れる花をうっとりと見つめていました。


「今日の機嫌はいかが?」


少女が孔雀草に向かって問いかけると、孔雀草は答えるようにして風になびきます。

少女は満足したのか、口元に弧を描きました。


少女の名はハンナ。

幼い頃に両親を亡くし、お婆さんに育てられていました。

お婆さんも去年に亡くなってしまいましたが、ハンナはシュルエヤーの谷で沢山の花と共に元気に暮らしています。

ハンナは息を胸いっぱいに吸い込み、辺りを見回しました。

辺りには母が残してくれた沢山の種を蒔いて出来た花園があります。

この花園は、ハンナのお気に入りの場所で、一日の殆どはこの場所で花と話していました。

花は、ハンナの唯一の友達でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

花咲きハンナ 理想郷美煉 @chhrmhs

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ