後日談

番外編1話 半年後(甘々注意)

 ———半年後。


「ふぅ……さっさと帰るとするかな……じゃあな、アーサー」


 授業が終わり、俺は横で授業の板書をしているアーサーに声をかける。

 するとアーサーは此方を向くと、爽やかな笑みを浮かべて言った。


「うん、また明日ね。———今日もヘラさんはシンの家に泊まるんでしょ?」

「まぁ……その予定だ」

「相変わらずお熱いねぇ……」

「お前にだけは言われたくないけどな」

「まぁ……僕は親に反対されてるけどね」


 因みに俺は、もうヘラの両親にはバレており、俺が神霊契約者だと明かして、周りにバレないと言う約束の下、交際は認めてもらっている。


「良いよねヘラさんの家は」

「まぁ……今回ばかりは俺の強さと爺さんに救われたな」

「ほんと、羨ましいよ……」

「アーサー……」


 どうやらアーサーの両親はマリアさんとの結婚は反対らしく、アーサーは人生で初めて家族に逆らって付き合っているのだと言う。

 こう思うと、ヘラの家族は寛容だよな。


「じゃあ僕はこれで」

「ああ、マリアさんに宜しく伝えといてくれ。それにもしもの時は力になるぞ」

「……ありがとう。もしもの時は頼らせてもらうよ」


 アーサーはそう言うと、マリアさんの所に行くために足早に教室を出て行った。

 俺も少し遅れて教室を出ると、人の少ない中庭にてヘラを待つ。

 すると数分後に、真紅の瞳と美しい銀髪の可憐な美少女———ヘラが手を振りながら走ってやって来た。


「シンっ! どうどう? 今日は早かったでしょ!? 私頑張ったのっ!」

「ああそうだな。今日はいつもより早かったな。俺のためにありがとう、ヘラ」

「えへへ……勿論よ! だってシンはこの世で1番大切な彼氏だもん! あんな取り巻きなんかに邪魔されるなんて許さないもん! ———だから、褒めて?」

「よしよし、よく頑張りました。俺はとても嬉しいよ」

「むふぅ……えへへ……」


 飛び込む様に抱きついて来たヘラを優しく受け止めると、俺は褒めて欲しそうなヘラに、ゆっくりと髪をとく様に頭を撫でる。

 すると、ヘラは嬉しそうに顔を綻ばせて甘える様に声を漏らした。


 この半年間の間に、俺達は立派なバカップルと呼ばれる者達の仲間入りを果たした様に思える。

 お互いが居ないと無性に落ち着かなくて集中出来ない時があるし、逢えば常に身体のどこかを密着させている。 

 手を繋げば心が幸せで満たされ、それよりも凄いことをすれば、もう周りのことなど全く気にならなくなるほどだ。


 因みにもう既に男女の関係は持っており、最近ではヘラの方が———これ以上はやめておこう。


「どうしたの……? 今日何かあったの?」


 俺の頭を撫でる手が止まっていたせいか、ヘラが俺の胸に埋めていた顔を上げて上目遣いで心配そうに俺を見つめて来た。

 そんなヘラに俺は安心させる様に笑みを浮かべる。


「勿論何もなかったよ。ただ、最近はヘラが積極的だなぁ……って。昔はあんなに恥ずかしがっ———むぐっ」

「す、ストップ! それ以上言うのは禁止だよ! 恥ずかしいもん!」


 ヘラは顔を一気に真っ赤にしては、これ以上言わさないという様に俺の口を両手で塞いできた。

 俺はその姿も可愛いなぁ……と思いながら、片手でヘラの手をそっと離させる。


「そんなに恥ずかしがるならもう少し抑えたら良いのに」

「そ、そうだけど……気付いたらそうなってて———むぅ……やめるの無理だって分かって言ってるでしょ……シンのいじわる……」


 ヘラが涙目で俺を睨むが、顔が真っ赤で且つ頬を膨らませているのと、俺の身体を抱き締めているせいで全く怖くないどころか、ひたすらに可愛い。

 俺はヘラの姿に思わず笑みが漏れる。


「な、何で笑うのっ!」

「いや……ヘラが可愛いなって」

「うっ……そう言われたら何も言えないじゃないの……」


 ヘラは拗ねた様に俺の胸に頭をぶつけ、ぐりぐりと押し付ける。

 最近ヘラが拗ねるとコレをする様になったのだが……正直痛い。

 でも、ヘラの可愛さを感じれるので、実質プラマイプラスだ。


「ヘラ、揶揄いすぎた俺が悪かったからそろそろ機嫌直して?」

「……許して欲しい……?」


 ヘラがぐりぐりするのを止めて訊いて来たので、俺は速攻で首を縦に振る。


「勿論。どうしたら許してくれる?」

「……今日もシンのお家に泊まらせて……」


 顔を湯気が出そうなほど真っ赤に染め、潤んだ瞳で此方を上目遣いで見ながら、囁く様に呟いた。

 その瞬間———俺はヘラのあまりの可愛さに思考停止を余儀なくされる。

 

 …………俺の彼女、可愛すぎないか?


「ど、どうしたの……? な、何か言ってよ……勇気出して言ったのっ」

「ご、ごめん……ちょっと可愛すぎて思考停止してたわ。———勿論良いよ。じゃあ今日の夜はヘラの好きなオムライスにしよう」

「やったっ! そうと決まれば早く行きましょう!」


 俺の指と絡ませて恋人繋ぎをしたヘラは、嬉しそうに歩いて行く。

 そんなヘラを見ながら、俺もまた内心舞い上がりながらついて行った。


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