前世を覚えている妹の話

 ぼくの1さいのいもうとは、あたまがすごく良くて、あと少しへんなことを言います。


 まず、1さいなのに、「くうしゅう」とか「へいか」とかむずかしい言葉を知っています。

 それに、ぼくを「おにいちゃん」じゃなくて「あにさん」っていいます。


 名前は、U希ちゃんというのですが、じぶんのことをUちゃん、と言うところもへんです。


 でも1ばんへんなのは、ぜんせのことをおぼえてることです。


 ぜんせと言うのは、生まれかわるまえのことで、U希ちゃんはそこで、とてもくらいはこの中にいたそうです。そこは、下に水があって、それで、そこでくらくてさみしくてないていたそうです。


 「中でしんじゃったの?」ときいたら、ちがうよと言って、つぎに「あにさんをよんだのにこないから、Uちゃんがはこから出てきたんだよ」といいました。


 もしかしたら、U希ちゃんは生まれるまえからぼくを見ていたかも知れなくて、ちょっとこわいけど、ちょっとうれしかったです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

箱と兄妹とてのひら怪談 弓長さよ李 @tyou3ri4

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ