原宿のシャレオツカフェ

すでおに

原宿のシャレオツカフェ

 オシャレ喫茶に入った。原宿駅から徒歩10分ぐらいの場所にある、チェーン店ではない、若い女性客が多い喫茶店である。とりたててオシャレな印象をもったわけではないけれど、最寄り駅の原宿から遠く、チェーン店でないことで、オシャレ喫茶の条件は十分に満たしている。

 その上木目調の内装にテラス席もあり、パイを売りにしているのだから疑いようはない。

 

 この手の店に入った経験はあまりないが、時間を潰す必要があったのに近くにカフェチェーンがなかったために入店した。すぐそばのコンビニにイートインコーナーがあると知ったのは退店後。とはいえレア体験に後悔はなく、オシャレ喫茶に気兼ねなく入れた自分の成長を実感出来た。


 オシャレ喫茶だけあって、細めの板を並べたオシャレテーブルで、板と板の間に空間があるのでカップを置くのに注意を要する。周りを見たら一枚板のテーブルもあったのでそちらに座れば良かったが、雑に置いてもひっくり返ることはなく、案外使い勝手は悪くない。


 肝心のコーヒーは、チェーン店ではありえない熱々ぶりで、危うく口を火傷するところであった。熱いコーヒーを好む私も不意を突かれては素直に喜べない。ここから推測されるのは、おそらくチェーン店では万人向けに、熱すぎない温度で提供しているのであろうということ。

 以前アメリカで、股に挟んだコーヒーが零れて火傷し、多額の賠償金を得た事件があったと記憶しているが、そういう事故を回避するためにもチェーン店は高温を避けているのだろう。コンビニでも同様の配慮がなされていると思われる。良くも悪くも非チェーンならではの熱さだが、コーヒーは熱い方が美味い。


 私の目を引いたのは、斜め前方に座るカップルで、20代後半ぐらいのその男女はペアルックだった。緑色の同一のトレーナー。下は白のズボン(シルエットはやや異なるがいずれも真っ白)。同じ色味のベージュのスニーカー。ワンポイントではなく、全身同じコーデであった。


 原宿のオシャレ喫茶にペアルックで入店するのは勇気がいるはずも、そんなことが気にならない達人だろうか。他の客は気づいているのかいないのか、とりたてて注目されている風ではなかった。といって見慣れているようでもなかった。


 どんな会話をするのか、聞き耳を立ててみても聞き取れず、私がペアルックに気づいてすぐに退店してしまった。


 街中ですら滅多に見ないのにオシャレ喫茶で出会うとは。地球がある限り滅びまい、ペアルックの生命力を思い知らされた土曜の午後でした。

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原宿のシャレオツカフェ すでおに @sudeoni

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