第9話
実家から帰った日の夜。女の子は現れた。
「あと六日ですが、どうですか。」
彼女は僕に向けて言う。
「ああ、最高だよ。」
僕は彼女に向けて言う。
「そうは見えないですけど。」
そりゃそうだ、家に帰ってから酒を大量に飲んだ。そのせいで部屋のあちこちに酒が散らばっている。
「いいんだよ、ほっとけ。」
僕がそういうと、彼女は
「親に会いに行ったんですか。」
と聞いてきた。
なんでわかった、と返すと、彼女は続けた。
「お客様の身辺については必ず調べるので。実家に尋ねた後、弟に関することで母親と合わず。そのまま帰ってきたというところでしょうか。」
「ははっ…。大正解だよ。もうあの家に、家族に、俺のことは消えてなくなっていた。あと六日で俺が死ねば、任務完了だよ。」
そう彼女に吐くと、彼女はとんでもない提案をしてきた。
「明日から私もあなたと一緒に生活します。」
「は…?なんで…?」
脈絡のない展開に自分が戸惑いを隠せずにいると
「寿命を売られた方が自暴自棄になって犯罪を犯してしまうケースが多いんです。あなたにはその兆候が見られますから。」
と彼女は言った。
別に気にしなくていいですよ、と彼女は言う。
もうあと六日で死ぬんだ。今更誰に何を見られようがいい。
「わかったよ。」
そう答えて、その日はそのまま床で眠りについた。
あと、六日。
生きるということ。 @mata_aimasyou
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