第七章・呪いの原因

『凛天の呪い、あれは八岐大蛇の恨みが子孫に感染したものだ、根本的に言ってしまえば、恨みが深まれば深まる程に重くなる』


出雲郷八雲岌武千代は語り出す。


『普通の人間でも、自分が不遇な扱いを受けている時、他の人間が優遇されていると嫉妬や悔恨、憎悪などが生まれるだろう、凛天と言う存在が生きているだけで蛇は恨み、呪いを重くしていく』


出雲郷凛天の呪いの根本。

彼女が受けた呪いと言うものがどういったものであるのかを。


『だが…尤も重い症状に至るのは、やはり、恨みの根本である』


その身にも残る呪いの残滓。

それを春夏秋冬式織に告げていく。


『八岐大蛇は生前、一つの神として崇められた事で神格を得た。濁流の蛇、水害の神として祀られた事で、川の激流から八つの首を持つ蛇として認識させられた事で八岐大蛇となった』


春夏秋冬式織は何も言わず、その話を聞いていた。

何を思っているのか、春夏秋冬式織は頷きながら耳を傾ける。


『そして、八岐大蛇は生贄と称し奉納物を求めた、若い娘を得る事で水害を起こす事を止めると言うもの…元来、神として存在してきた八岐大蛇はその様な契を以て存在し続けていた』


そうして、出雲郷八雲岌武千代は離しの本質へと向かい始める。


『だが…ある神格が八岐大蛇を討伐した、これにより、神として存在していた八岐大蛇は神格を排され化物として落ちた。そしてそのまま死んだ事で、自らの中に湧き出る呪いを、関係者に与えたのだ』


彼女の呪いが何故、此処まで深くなってしまったのか。

その体を縛り付ける呪いが、何が原因でそうなったのかを。


『当然、呪いは末代まで祟る事になるが…当事者のみは呪いで死ぬ事が無かった、当たり前だ、それは神であり、化物と落ちた末路不和神霊の呪いなど簡単に祓われる』


そして、出雲郷八雲岌武千代は核心に触れた。

春夏秋冬式織も、その時点で感づいていた。


『故に口惜しく、その神が現れると、呪いは濃くなってしまう』


神の出現。

それも、神格を失いし末路不和神霊などではない。

文字通りの本物。神の力を得た存在が、この地へと降りて来たと。


『受肉したらしい…荒き風の神…今では、益荒男と呼ばれる神が、この地に出て来た』


数多くの名を持ち、その神話に名を刻み付けた雄々しき神。

それが、この高天原市へとやって来たのだと出雲郷八雲岌武千代は言うのだった。


その神が登場した事で、出雲郷凛天は、更に呪いに蝕まれ、苦痛や人肉を食す様になってしまったのだと、春夏秋冬式織は記憶した。

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幼少期の頃にいっぱいフラグを建てる主人公、好感度上限振り切ったヒロインたちに迫られる。和風バトル、ヤンデレ、ハーレム、現代、和風、学校、現代ファンタジー 三流木青二斎無一門 @itisyou

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