第15話 学園以外なら人気者


夜の活動時間は、本来の僕とは違うような過ごし方を最近はしていた。


【チート】


このスキルはなんでもあり、今日やったように自分の座標変更だって、思いのまま。


つまりは座標さえ合っていれば望んだままの場所に僕は一瞬で移動することができる。


例えば僕が今いるこの自室から


リンダリア大陸の座標のコードを入力すると。



0x217F7E28 0x00523212



Enter!



「よし、リンダリア大陸にこれた」


普通ならば船に乗って何日もかかるような海の向こう側にある大陸にだってこの通り。


一瞬でたどり着ける。

そして、ここはリンダリア大陸のかなり内地の部分。


何日あれば着けるんだという場所に僕ならばひとっ飛び。


「さて、と。今日もギルドに行こうか」


だが、座標が間違っていれば上手く飛べないのも事実である。

なので僕は毎回毎回同じ座標を使いリンダリアまで来ている。


ちなみに最初テレポートした時は空の上だった。


まぁ、たとえ空の上でもチートで落下ダメージ0だからね。

ノープロブレム。


「えっと、先ず服を脱いで、次に僕のプロパティを開いて、と。年齢、と身長、それから体重だな」


12となっている箇所を見つけて、そこを18に変更。


これで歳は18。それから120の数字を180に変更。最後に25となっているものを45に変更。


これで僕は18歳180cm45kgの男になった。


(これで今の僕は大人の男!)


よし、完璧だ!


テクテク。

歩いて今日もリンダリアの王国。


スレイトス王国のギルドを訪れた。

ギィィィっと木製の扉を開けると


「ルビアス様?!」

「ルビアス様が来たぞぉぉぉぉ!!!」

「おぉぉぉぉ!!?ルビアス様ぁぁぁ?!!」


中にいた冒険者が僕の顔を見ていっせいに騒ぎ始めた。

そして僕の周りに駆け寄ってくる。


「ルビアス様、本日は私共のパーティへ」

「待ちなさいよ!ルビアス様は今日は私のパーティなんだから」


と僕の取り合いを始める冒険者たち。

そんな彼らに謝る。


「ごめんね。今日も違うんだ」


そう言うと僕はこのギルドのカウンターの奥にいた人物に目を向けた。


その人は僕を見るとカウンターから出てきて僕に近寄ってきた。


「る、ルビアス。今日も来てくれたのか?」

「まぁね?」


肩を竦めて答える。

この人はこのギルドのギルドマスターであるサーシャ、17歳。


ギルドマスターとしては異例の若さだった。

でも、そんな彼女は僕のことをとても愛してしまっていた。


「あぁ、ルビアス。どうして君はそんなにかっこいいの?」


そう言って僕の腕に自分の手を絡ませてくるサーシャ。


「そんなに褒めないでよ?照れるじゃないか」


ふへへ。


「それで、もういいの?仕事の方は」

「丁度業務が終わったんだ。ルビアス、今日はどこへ行く?」

「僕はどこだっていいよ」


そう答えてサーシャにどうするのかを聞く。


すると顔を真っ赤にするサーシャ。


「私はルビアスとならどこへだっていいさ……///」

「OK。じゃあ今日もダンジョン攻略でも行こうよ?」

「うん!」


サーシャを連れて僕はギルドを出る。


ダンジョンに向かいながらサーシャが口を開いた。


「な、なぁ。ルビアス」

「どうしたの?」

「最近、ルビアスのことを夢に見るんだ」

「えーっと、どういうことかな?」

「私以外の女と歩いているルビアスの姿を」


この人意外と鋭い?


「やだなぁ。そんな事ないじゃないか」

「で、でも最近話にも聞くんだ。隣の大陸でルビアスという英雄が現れた、という風の噂を。そして、そのルビアスは王女様と婚約した、という話を」


ギクッ!

心当たりがありまくりな話に僕は内心で驚いた。


勿論、僕には座標変更チートがある。

だからこの大陸だけではなく、他の大陸にも自由に行けるし。


そこの大陸で蹂躙の限りを尽くし活躍することもできる。

そして活躍した僕は


(この前王女様と結婚したんだよなぁ)


まさかこっちにまで届いているとは思わなかった。


よし、ごまかそう!


「ねぇ、サーシャ?大陸間の移動がどれだけ、大変か分かるよね?賢い君ならさ。僕は正真正銘、この大陸のルビアスさ」

「あ、あぁ。で、でもルビアスなんて名前珍しくってさ……」

「これだけ世界は広いんだ。ルビアスって名前の人間くらい腐るほどいるさ」

「腐るほどはいない。調べたんだ。ルビアスって名前の人間は10人いない、はずなんだ」


無駄なことをしてらっしゃる。


「私はお前を信じているぞ」


僕の胸に飛び込んできたサーシャ。


あぁ、いい匂い、じゃなくて。


そんなサーシャの頭を撫でる。


「私のことを好きだと言ってくれて、婚約したのは私だけという話、信じているから」

「うん。信じてくれ。婚約したのはサーシャだけだよ(大嘘)」

「うん♡」


そう言って歩いていくサーシャに僕は着いていく。


「早く行こルビアス」

「ははっ。せっかちだよねサーシャは」


そう言いながら僕はサーシャに着いていきながら思った。


(まぁ、年齢18歳のルビアスが婚約したのはサーシャだけだから実質セーフだよね)


「ルビアス。ダンジョンに着いた」


今、僕たちの目の前にはダンジョンがあった。


「さっそく二人の思い出を作りに行こう」

「うん、そうだね」


ウキウキのサーシャの後を僕は着いていく。


それにしてもダンジョンで思い出作りか。


つくづく思うが本当に異世界というのは日本の常識が通じないよなぁ。

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トラックにぶつかりそうだった女子高生を助けたニートの僕、女神に棒を渡され好きに使えと言われたので【ニート】を【チート】に変えました~チートスキルでやりたい放題の異世界生活を満喫します! にこん @nicon

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