第14話 基礎魔法の授業
自習が終わり2時間目はちゃんと授業を行ってもらえることになった。
「今日は初級魔法、基礎魔法とも呼ばれるファイアボールからやっていきましょう」
先生がそう言ってまず手本でファイアボールを見せてきた。
「ファイアボール」
ひょろひょろ〜っと飛んでいく火の玉。
それは少し先に立っていた人形型のターゲットに当たって消えた。
「では出席番号順でやっていってもらいましょう」
ドキドキ。
僕は未だにファイアボールすら使えずにいた。
チートスキル関係に関してはずーっと色々と研究してきたから大体の仕様とかコードは分かるようになったけど魔法は全然だめだ。
「では次、ルビアスくん」
「は、はい!」
ガチガチになりつつも僕は授業用の魔術杖を手に取ると念じる。
(出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ出ろ)
「ファイアボール」
僕は魔法を使った。
しかし
シーン。
何も起きない。
「ファイアボール!」
シーン。
何も起きない。
「ぶぎゃはは。あいつファイアボールすら使えねぇのかよ」
そんな僕を見てクラスメイト達が笑ってくる。
「ふぁ、ファイアボールすら使えなくてよく入学できたなあいつwww」
そうやって笑い始める生徒たち。
【チート】
僕はお気に入り登録してあるチートがいくつかある。
その中の一つを発動させた。
【エクスプロージョン】
指定するのはどこに発生させるか、だけだ。
だから後はあのダミー人形目掛けて発動。
しかしここで
「ファイアボール!」
と唱えるのは忘れない。
ドカーン!!!!!!!
突如爆弾が爆発したのかと思えるくらいの爆発が巻き起こる。
その時にその爆風によって吹き飛ばされた人形の破片。
それをさっき俺を笑った生徒たちにぶち当たるように、破片のプロパティを変更。
「おごぉぉぉぉ!!!!」
「ぐあっ!」
破片に当たって吹き飛ばされる二人。
それから爆風で目が開けられない他の生徒たち。
「な、なにこの爆発!」
「こ、これがファイアボールなの?!」
やがて爆風が収まる。
僕の目に入ったのは目をまん丸と見開く先生の姿。
「い、今のは……なに?」
「ファイアボールです(大嘘)」
「そ、そんなわけないよね?」
「ファイアボールです(真顔)」
「え、えぇぇ?!!」
僕のゴリ押しに負けたのか今のをファイアボールだと認識してくれたようだ。
「で、でもターゲット人形壊れちゃった、どうしよう」
と先生が壊れていたので僕は
【チート】
【時間戻し】
人形のあったエリア一体をチートで時間を巻き戻した。
すると抉れていた地面も人形も元通りに戻った。
「は、はぁ?!」
また驚く先生を置いて僕はルゼルの近くに戻る。
よし、ファイアボールが使えることを勘違いさせたぞ!
これで赤点回避だ!
◇
3時間目基礎魔法、
先生が一番初めに見本を見せていた。
「サモン。我が呼び声に答えよ火の精霊サラマンダー」
先生が呪文を唱えると学生が使う用の魔法陣から小さな生物が出てきた。
トカゲ型でチロチロと火を出して尻尾の先端には火が出ている。
「すげぇ、サラマンダーが出てきた!」
この魔法を見て驚く生徒たち。
その後先生は生徒たちに目をやった。
「では、サモンをやってみましょう。魔法陣は描き方を説明しましたね?」
「「「はーい」」」
「呼び出したサラマンダーとはスキンシップを取ってみましょう」
生徒たちが早速魔法陣を描いてサモンを行っていく。
「サモン、サラマンダー!」
「出てきて、サモン!」
そんな感じの声があちこちから聞こえたきた。
「サモン」
僕の隣にいたルゼルも同じようにサラマンダーを呼び出していた。
「かわいいですね、サラマンダーは」
ルゼルはサラマンダーの頭を撫でていた。
そうしながら僕に目を向けて聞いてくる。
「ルビアス様?何をしているのですか?」
「僕は手を抜かないよ。一年生の授業と言えど百獣の王は全力を出すんだ」
「は、はぁ」
そんな会話をしている時先生が声をかけてきた。
「ルビアスくん?まだ召喚できそうにない?」
サラマンダーの召喚はみんな終わっていた。
そんなときクラスの陽キャが僕をバカにしてくる。
「せんせー。そいつファイアボールすら使えないんだぜ?さらに難しいサモンなんてむりむりwwwサモンじゃなくてサーモン食べさせてた方がいいぜ?サモンの授業だけに」
「ギャハハ」
僕を馬鹿にしたような声が上がってくる。
今に見てろ。
僕はお前らのそんなサラマンダーなんていう火のトカゲより凄いのを召喚してやるからな!
僕はチートコードを入力した。
・ihuri-to Syoukan
0x8015E0BF 0x015E001C
0x00000006 0x00000000
そして僕は皆がしていたように腕を天に向けて突き上げる。
これがサモンをする時のポーズ。
そして、念じるんだ。
自分が呼び出すものを。
僕が呼び出すものは決まっている。
炎神イフリート。
「来い、サラマンダー!(大嘘)」
ズギャーーーーン!!!!
突如雷鳴が落ちたような音と共に、僕達を覆う巨大な影。
それはイフリートが現れたものによってできた影だった。
「フシュー……」
僕達の遥か上空で巨大なイフリートが学園の校庭に立っていた。
「あ、あわわわわわ……」
情けない声を出してその場に尻もちを着く生徒たち。
そんな中イフリートが口を開く。
「サモンに応じた。我に何を望む?」
僕は口を開いた。
「僕とスキンシップを取って!」
「承知した」
僕に右手を差し出してくるイフリート。
その巨大な右手に乗った。
ズゴゴゴゴ!!!
空気を震わせて僕の体は宙に浮かび上がる。
「行くぞマスター」
「どこに?」
「世界を飛び回るのだ」
「世界旅行なんだね!」
「そういうことだ」
ピューン!
イフリートが神速のような速さで飛んでいく。
そうして海を越え現在は6つとなった全ての大陸の上空を通り、僕とイフリートは学園に戻ってきた。
所要時間は1分程度、流石神様のイフリートだ!
僕を校庭に戻すとイフリートは告げてくる。
「これでいいか?用があればまた呼べ」
「うん!また呼ぶ!」
シュンと消えるイフリート。
僕は振り返って先生の方を見た。
「あれ?なんで寝てるの?」
大変だ!先生とクラスメイトが校庭に寝ちゃってる!
「ルビアス様」
唯一起きていたルゼルが話しかけてきた。
「とんでもないものを気軽に呼ばないでください。私以外の心臓が驚きすぎて止まっています」
「心臓が止まってるの?!それは大変だ!」
僕はチートを使いみんなの時間を巻き戻した。
「う、うん?」
ムクムクと起きてくる先生と生徒たち。
「あれ?記憶が……な、なんで倒れてたのかしら?」
起きてきた先生に僕は必死に召喚して、手のひらサイズのサラマンダーを見せつけた。
「サラマンダー!呼び出したよ!」
「呼び出せたの?でも時間がかかりすぎね。今回は成績に関係ないけど、次からは頑張るように」
「そ、そんなぁ」
ガックリ。
僕は肩を落とした。
しょぼーん。
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