「セカイが壊れるオトがする -Medium of Darkness-」の第1章を読んでの感想です。
この章は、物語の舞台となる世界や主要な登場人物が初めて紹介されるので、読者は物語の背景を理解するのに役立つ情報を得ます。そして、物語の冒頭で、セカイが壊れるオトを感じるという神秘的な要素が導入され、どんどんお話に引き込まれました。
また、登場人物の性格や関係も魅力的で、アストリアとライナスの出会いから、彼らの契約や冒険へのスタートがスムーズに描かれています。特に、アストリアの内面や過去の謎、ライナスの哲学的な言葉遣いなど、キャラクターの掘り下げが十分で、おかげで彼らに共感しやすくなりました。
物語の舞台設定やキャラクター紹介に焦点を当てた序章として機能しており、物語の進行に向けて興味を引く要素が充分に詰まっていることからも、キャラクターの心情や関係、そして物語の謎が次の章につながることを期待させます。
決して万人受けする作品ではないが刺さる人には返し付きで刺さる作品。
俺TUEE系の作品ではなく、ハイファンタジーの世界観の中、丁寧に描かれた旅をする仲間達の様子を読みたい方にオススメ。
主人公サイドの登場人物にアから始まる人物が複数配置されていたり、人物描写が少な目等、読みやすさはあまり考慮されていないが、共依存関係の主人公とヒロインが少しずつ関係を深めながら少しずつ不穏なエンディングに近付いていく様子は、この作品でなければ得られない栄養素といえる。
また、主要登場人物は敵味方によらずそれぞれの信念を持っており、ただの舞台装置ではない事は読者の感情移入を助けるだろう。
作品全体の色合いとしては白黒ハッキリというよりは、光の当たり方で白にも黒にも見えるグレーを描いているように感じる。